娘が不登校になりました。「うちの子は関係ない」と思ってた
小林薫:著
ぶんか社
あらすじ
中学2年生の春、ある朝突然娘が学校へ行かなくなった。
「おなかが痛い」と言う娘を信じて学校へ休みの連絡を入れる著者だが、翌日も翌々日も「おなかが痛い」。
まさかこれが不登校の始まりとは思わず、著者は娘とあらゆる攻防を繰り広げつつ学校へ登校させようとする。
学校側との面談、担任との話し合い、級友に迎えに来てもらう作戦などあれこれ手を尽くすが、状況は悪化の一途をたどっていく。
一方、しだいに学校側の対応に不信を抱いた著者はフリースクールや私立中学への転入など、「別の学校への登校」を模索しはじめるが・・・。
公立校への不信、フリースクールや私立校転入、その手続きや実際の金額、それらを見つけ出すまでに至った経緯などを時系列に追ったストーリー。
ニャム評
ネットを見ていたら気になるタイトルのマンガを見つけました。
Kindle Unlimitedで配信中とのことで、これは・・・アンリミテッド体験してみるか!と思い立ち、ポチッと登録してみました。
ついにアンリミテッドデビューです。
無料期間中に継続するか考えようと思います笑
さて、我が家も未就学児がいるので、これからの就学や進学についてはいろいろと不安が多いです。
読んでみていろいろと意外だったのは、まず不登校の理由がいじめではないこと、強烈に拒否したい出来事があったわけではないというところでした。
学校には友だちもたくさんいて、部活も頑張っていて、中学1年生までは楽しそうに登校しているように見えたそうです。
著書内で語られていますが、理由のひとつに担任と合わないということがあったようですが、それだけが理由でもなさそうで、著者の娘さんいわく「あの学校に行くのがイヤ、先生がイヤ」とのことでした。
本書のコラムでは「起立性調節障害」についても触れられています。
心に負担がかかることが引き金になって障害を引き起こすこともあるのかな・・・。
校風が厳しく、部活の先生がかなり乱暴な言葉遣いをしていたようで、2年生になってその先生が担任になったことが心の負荷になったのかなという印象でした。
作中での説明では教師の発言に「てめえら」「バカ」などという表現があったようで、著者は「下町だから」と言っていましたが個人的には先生(というか学校)が完全アウトではと・・・。
著者はなんとか娘さんを学校へ行かせようとあれこれ策を講じますが、結局その学校には戻れませんでした。
4ヶ月ほど攻防が続き、娘さんの不登校を保護者としてやっと受け入れて、これからどうすべきかを模索し始めるのですが、ここが肝だったのかなと感じます。
もしも子供が学校に行かれなくなったら?
その可能性を考えているかどうかで対応の早さに違いが出るのではと思いました。
保護者としての悩みや葛藤が等身大で語られていて、他人事とは思えずにかなり感情移入して読んでしまいました。
その後、娘さんが通うことになるフリースクールや私立校の入学へのプロセス、実際のカリキュラムや雰囲気などもわかりやすく描かれており、「子供の選択肢」を模索している保護者の参考になると思います。
私見ですが、いま通っている学校になんらかのトラブルがあって通えないということになったら、ほかの選択肢があるということをなるべく早い段階で、親子で一緒に探るべきだと思いました。
著書での娘さんはお母さんと大ゲンカしながらもなんとか高校卒業証書まで漕ぎつけていましたが、選択肢がないことで追い詰められて死を選んでしまう子もいるだろうなと思います。
著者の親としてのいらだちはものすごく共感できますが、怒って解決するなら苦労しないわけで・・・
このへんの問題はかなり難しいですね。
私自身も学校生活はブラック一色だったので笑、娘さんの気持ちもわかります。
そもそも学校っていうシステムがすでに体制を保てない時代になっているんじゃないかなって思います。
多様化という言葉から一番遠い、小さな箱に閉じ込められて、狭い価値観の仲間ごっこができない子はドロップアウトする。
そんな小さな箱、べつに無理やり入らなくてもいいんじゃない?
the pillowsの「Blues drive monster」を思い出してしまいます。
メガネに貼りついてるように
どこを見ても
代わり映えしないこの景色
今日も退屈でがっかり
皆いったいどんなシステムで
感情をコントロールしてるんだ
気が狂いそうで泣き出した僕がまともなんだよ
morning station 満員電車に乗れなくて
その小さな箱がキラキラした宝石箱みたいならいいんですが。
でも実際、わが子がこの問題に直面したときに自分が最善の対応を取れるかどうかはなんとも言えないですね。
だからみんな、早く大人になったらいいです。
私は自分でお金を稼げるようになって「大人はサイコー!」(by 怒髪天)って思いましたから笑