BOOK

「勉強しなさい」は言うほど勉強しなくなる呪いの言葉。叱るのをいますぐやめて代わりに実践すべきこととは

子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」
石田勝紀:著
ディスカヴァー・トゥエンティワン

あらすじ

「一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事」を務める著者が、3500人以上の子供たちの学習指導を通じて得た経験と知識を基に、「子供を叱る」ことの弊害と「叱る」の代替法を公開。
子供を叱る前に確認すべき「5つの原則」を紹介し、その原則を基に子供とどう向き合うかをレクチャーしています。
本書では実際に寄せられた相談内容を読者とともに読み解きながら、具体的な解決策を提示しています。
未就学児から高校生、大学生の子を持つ広い世代の保護者の悩みにマッチする内容になっています。

ニャム評

「子供が勉強しないので、つい叱ってしまう」という相談を受け続けてきた著者が、「叱る」という行動を違うアプローチに代替する方法を提案しています。
「叱ることをやめる」という本なのでしつけの本かと思いましたが、ほぼ勉強に特化した内容でした。
就学して勉強がはかどらない、将来の展望が見えにくいと感じる子供の保護者向けの本です。

著者の石田さんはもともと学習塾を経営されていたそうで、子供に勉強させる方法を熟知されているようです。
「なぜ自分は叱るのか?」という、感情の根本を論理的に見つめ、そのアプローチをしたことで子供にどういった影響を与えているのかを掘り下げます。
そして、「叱る」ことが子供に与える影響を理解したうえで、「叱るかわりになにをしたらいいだろう?」ということを考えていきます。

それを考えるうえで大切なのが本書の「5つの原則」です。

【第1原則】
自分とまったく同じ価値観の人はいない

【第2原則】
強制されたことは、やらない。やったとしても、形だけになる

【第3原則】
人間には、最低3つの長所がある

【第4原則】
親は成長が止まっているが、子どもは成長している

【第5原則】
まず、「諭す」。「叱る」「怒る」は非常時のみ

この5つの原則はどれも、子供の気持ちを理解し、必ず好転すると信じ、無条件に受け入れることに基づいています。

本書に紹介されている相談内容は

「おとなしい性格で、自分の意見をはっきり言えない」
中学3年生男子

「部活をがんばりすぎて、授業中寝ている」
中学2年生女子

「勉強に身が入らず、やる気がない状態が続いている」
大学1年生男子

「授業についていけず、集中力がまったくない」
小学5年生女子

「全教科の成績が最低レベルなのに、本人に危機感がない」
中学2年生男子

「何も言わず見守っていたら、ますますスマホ漬けに」
中学2年生男子

「勉強もしないで、お絵かきに夢中…」
高校1年生男子

「ゲームのやりすぎで、日常生活にしわ寄せがきている」
小学3年生男子

「プライドが高すぎる娘が心配」
小学4年生女子

「毎日怒鳴っては反発される、の繰り返し」
小学2年生男子

「ついつい言いすぎて後悔してしまう」
中学2年生女子

「学校で習った問題が解けないのが許せない」
小学6年生男子

「わが子の将来を悲観してしまう」
中学3年生男子

これらの相談ケースに「5つの原則」を当てはめながら、解決方法を提示しています。

我が家のニャ娘はゲーム大好きなので、「ゲームのやりすぎで、日常生活にしわ寄せがきている」という相談を特に興味深く読みました。
ゲームをやめさせる方法としていくつかの段階的・具体的なルールが例示され、ゲームから勉強へとシフトさせる会話例が紹介されています。

そのほかの相談も「5つの原則」のどれに当てはまるかを解説するとともに、親から子への声かけ例が「悪い例」と「いい例」それぞれに記され、その理由が解かれています。

本書が強く伝えているのは「子供は必ず伸びる。それを親が心から信じ、同時に子供へ信頼を与えることこそが最も重要」ということです。
これこそが「5つの原則」の大原則でもあり、深く共感しました。
一方で、本書のすべての相談内容が「どうしたら子供が勉強するか」のみだったのが少々残念に感じました。
相談内容を読んでいるかぎり、登場する子供たちがそれほどダメな子には見えません。
たいていの子はなにかに熱中し、さらに一部の子は特定の教科に強い関心を持って取り組んでいて、なにが問題なのだろうと思いました。
相談者である親からすると「〇〇しているヒマがあるなら勉強を…」ということなのでしょうが、その考え自体に違和感があるので、そのあたりはちょっと共感できなかったです。
子それぞれの特長を見つけて、それを大きく伸ばそうとは思わないのかなあ。

ここからはヨタ話になりますが・・・
私自身はとにかく勉強が苦手で、高校を卒業するまで勉強したことがありませんでした。
高校の志望理由も「勉強しなくても入学できるから」です笑
我ながら突き抜けてるなと思います笑(よく親もここまで放置したな。。。)
もちろんそんな学校なので、まったく勉強しなくてもテストも進級も楽にパスしていました。
高校卒業後の進路は「これ以上まだ勉強するなんて考えられない」という理由で、音楽関連の専門学校へ。
じつはこの学校で学ぶのは音響と舞台照明だったため、かなりみっちりと工学系の勉強をすることになり、「ご・・・誤算!!」と思いつつ人生で初めて勉強しました笑

本書の相談者から見ると完全落ちこぼれサイテーダメ人間の私ですが、あれこれと職を経験しながら、いちおう現在は東証一部上場企業でわりといい年俸をいただいて就労しております。
こういう「ご立派」な会社で働いているとよく見かけるのが、「スーパー高学歴で自己評価&意識高い系の使えない新卒くん」です。
人気の高い会社らしく、新入社員募集時にはかなりの応募があるそうで、みごと入社を勝ち取った新卒くんたちはほんとうに誇らしげです。
そして耳をそばだてていると、名刺を友だちとか合コン相手に配りまくるらしいです笑(おいおい経費かかってるんだゾ)
そして配属されてしばらくはキラキラ輝いていたのが、だんだん電池が弱くなるように輝きも薄れていき、気づくと休職していたりします。
ネームバリューはある会社だけど、やってることはわりと泥臭いので、「なんか思ってたのと違う」的な違和感を拭えなくなってしまうんでしょうか。

キラキラ新卒くんと同比率で生息しているのが「勤続年数長いけどなにやってるのか誰も知らないオジサン」です。
こっちのがキラキラ新卒より100倍やっかいです。
まさにいまナウ、私の業務をこの「勤続長年なぞオジサン」に引き継いでいるのですが、毎日が驚きの連続です。
パソコンのキーボードでコピペもできない人がまだ生存していたとは。
エクセルのセルをクリアするのに20個くらいのセルをポチポチいっこずつ消しているのを見て思わず叱ってしまいました。
ある意味貴重な絶滅危惧種なんだろうか。

今回、本書を読んで新しい発見や気づきはあまりなかったのですが、これが我が子ではなく「なぞオジサン」に置き換えるとまったく違った読み方ができます。
がしかし。しかしですよ。
「人を伸ばすには叱るよりほめる」と言われても、我が子とオジサンでは大きく違うものがあります。
それは「無償の愛」です。
我が子にはあふれて止まらない蛇口全開の愛がありますが、なぞオジサンに対しては当然1ミリリットルも愛はありません。
しかも、時短勤務でヒラ社員の私が、肩書きのあるフルタイム社員をほめながら伸ばすとかとうてい無理なわけです。
この本を読んでいて、「ダメな声かけの例」を読むたびに「これ私のことだ」と思い当たりすぎて笑ってしまいました。
(ちなみに「ダメな声かけの例」は「どうしてこんな簡単なことができないの」「何度言ったらわかるの」など)
でも、会社は「報酬」という相対評価があるため、時短でヒラでお給料の少ない私が短時間で終わらせている業務を、肩書きがあってお給料も多いオジサンが残業してやっているのを容認することはできません。
「報酬」という軸で見たとき、「なぞオジサンよりも私のほうが低評価」ということになるからです。
この点については上司にもはっきりと不満であることを伝えましたが、人事権の絡むことなのですぐに変わることはないだろうと諦めています。
長年会社に通勤しているだけでお給料がたくさんもらえるって、なんなんでしょうね。
もちろん不況下のニッポンでそんなラッキーなことが一生続くわけがないだろうとは思いますが。

ヨタ話が長くなりましたが、「子供に勉強をさせたい」親には役に立つ一冊だと思います。
また、若い社員、部下を育成する人にも有用な書です。
なぞオジサンには・・・効果ないかな笑

まったく勉強をしなかったアホアホな私からすると、じゃあ子供が勉強だけをがんばっていて、成績もよかったら、親はなにも心配しないのか?とそっちのほうが気になってしまいますが。
子供の成績が良ければ満足?
その満足は具体的になにが基準?
MARCHに入学できれば「子育て成功」?
そのあたりが、正直私にはよくわかりません。
IQだけが高くてなにもできない子が、これからの世界で泳ぎ切れるのかどうか、胸を張って大丈夫と言い切れる大人はどれほどいるのでしょうか。
不安定な社会を自力で泳いでいかなければならないのであれば、泳ぎを教えたり、泳ぐことが上手だとほめることがこれからの時代では生き残りの必須条件ではないかなと思ったりしています。