つぶやき

イクメンとかワンオペとかもうやめよう。育児はオレ自慢のツールじゃなくて、毎日の経験がそのまま愛の積み重ねなんだ

Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(@nyamletblog)です。

ツイッターを見ていてなんだかモヤっとしたツイートが目に留まり、つぶやくには文字数が膨大になりそうなのでせっかくブログあるんだしたまにはボヤいてもいいか、とこちらにPOSTすることにしました。

件のツイートはイクメンぶりを自慢する有名ブロガーで、私はきらいなので見ないようにしています笑
たまにタイムラインに流れてきても無視していますが、今回はどうにも引っかかってしまい、ここに一方的な意見を書き捨てておこうかと。

彼の投稿記事は「ワンオペ育児したことない父親はやってみるべき」というような内容で、わざわざ記事にするくらいだから一週間くらいやったのかと思ったら半日でした(それワンオペじゃなくてただ面倒見ただけじゃ)。
もちろん、「こんな大変なことをやっている妻はえらい!」みたいな慰労(のフリ)なのでしょうが、育児経験のある女性が見たら「So what?(それがなにか?)」になっちゃうんですよね。
ほめられたくてやっているわけじゃないので。

彼は男性から見たら(一部の女性から見ても)イクメン自慢しているわけじゃない、と思うかもしれません。
でも、「オレやってみたんだ」と公表した時点で自慢しているわけです。
その裏付けとして、記事紹介をしながら
「オムツ替えたくらいでイクメン気取ってるやつもいますからね~」
とツイートしていらっしゃいました。
それって「お前よりオレのほうがすごい」という気持ちの表れなわけで、そういう気持ちの人よりまったくなにもできない人のほうが全然いいです。

育児をやけに語る男性が日本でウザい理由は、「本来自分がやるべきでないことをやってみた」というスタンスが抜けないからです。
そして「母性」や「育児」を神格化するような言い方をすることで特別感を醸し出し、「男にはできない」という免罪符を常識のように定着させているからです。

育児は大変です。
特に新生児は放っておいたら死ぬという基本的リスクが常にあるので、世話をする人にとっては精神的負荷も過大です。
そして忘れないでほしいのが、世の中のお母さんも最初はみんなできなかったんです。
ある日突然この世に現れた赤ちゃんを、どうやって育てればいいのか。
そんなの誰も最初はやったことがありません。
でも、わからないからといって放置したら赤ちゃんはすぐ死んでしまいます。
誰も代わりにやってはくれません。
だから必死で、なりふり構わず向き合うしかないんです。
ただそれだけ。

べつに母性とかもありません。
だから、男性も同じなんです。
不吉な例えで恐縮ですが、出産と同時に母親が亡くなったとしたら、その赤ちゃんを育てるのは父親です。
というか、生まれた瞬間から父親が育ててもなんの問題もありません。
服薬している女性は母乳を与えられないので、ミルク育児だったら誰が育てても同じですから。
「男性は育児できない」はおかしい、というのが正直な気持ちです。
実際、さまざまな理由により母親不在で育児している父親は必死なので、ネットで「オレすごい」とか自慢しているヒマもありません。
男性はやらなくてもいいのに、育児の苦手な母親はなぜ世間で叩かれるのかというのも非常に納得できません。

で、有名ブロガーさんのなにがムカつくかというと
「オレこんなに大変だったけどやったぜ!みんなもやってみなよ」という発言がムカつきます。
はじめしゃちょーの「やってみた」かよ、とか思ってしまいます。
「オレはイクメンとか言ってるやつきらい」という体でいらっしゃるようですが、世の母親から見たら彼もただの「イクメンとか言ってるやつ」ですし、それを自慢してお金を稼いでいるので余計に始末が悪い。
なにが始末悪いって、「そっか育児って大変だな」とますます男性に思わせ、たった半日赤ちゃんを見ていただけで英雄と思わせる時代錯誤な認識を広めていることです。
人間は自分が無意識に避けたいことを高邁なものにすり替え、それを称賛し自身を卑下するように見せることで逃げを打ちます。
日本の男性が育児に対して「あんなすごいことをできる女性はすごい」というのは、形を変えた言い訳であり、問題のすり替えにしか過ぎません。
だって育児ノイローゼになる女性がどのくらいいるか、それを見ただけでも「女性は育児に向いている」と決めつけることがいかにナンセンスかわかるというものです。

しかし一方で、日本で男性が育児するのは無理だろうとも思っています。
日本での就労スタイルや社会通念、悪質な家制度の名残りなどで男性が家に長時間滞在する状況を作ることは困難です。
また、出産した女性は入院先で赤ちゃんと24時間一緒にいながら助産師さんの指導を受けられるので、そこですでに男性と差がついてしまうということもあります。
日本にいて、なおかつ希望して育児をメインでやる男性というのは、現実には金銭的にかなり裕福であったり、特別な環境にいる人だろうと想像します。
だから、できないのはしかたないと思います。
日本で正しく育児できる男性の圧倒的多数は保育士さんでしょう。

でもね、育児って、「やってみた」みたいなことじゃないんですよ。
お皿を洗ったり洗濯物を干したり電気の配線をするのと同じなんです。
誰でも最初はうまくできない。
でもやるしかないし、やってみればなんとかなるんです。
そして生活として続いていくものなので、一時やってみただけで済むようなことでもないんです。

ワンオペ育児なんて、やってみてもいいことなんかひとつもありません。
なぜ夫婦でいるのに、わざわざワンオペでやってみる必要があるんでしょうか。
ふたりでやったらいいんです。
部屋の中にゴミが落ちていたら、気づいた人が拾えばいいですよね。
(まさかそれさえもやらないような人は、ここでは一般人として扱いません)
赤ちゃんが泣いていたら、手が空いている人がお世話すればいいんです。
泣きやまないときは誰が抱っこしても泣きやみません。
「ママじゃないと泣きやまない」とか言ってたらママは一生抱っこしてろってことか?と思います。
全部、都合のいい刷り込みなんですよね、世間で言われる「育児論」って。

ワンオペがどうとかイクメンがなんだとか、そういうのはどうでもよくて、私が痛切に思っていることは
「いま育児しなかったらいつやるんだろう、なんてもったいない」
っていうことです。
育児って仕事でも家事でもなく、人間を育成するというとても貴重な経験だと私は思っています。
子供はすごいスピードで心身を成長させていきます。
どんなになつかしく思っても、半年前の子供にはもう会うことはできないのです。
だからどんな小さなことでも見逃さない、聞き逃さないと思って接しています。
そして、やったらやっただけ愛が積もっていくんです。
目の前に愛があふれているのに、手を伸ばさないなんてもったいない。
こんなにも愛されて、絶対的に信頼されるという経験は、ほかの誰かでは決して成し得ないと思います。

子供が母親にべったりなのは、母性があるからではありません。
何度も言いますが母性なんて都合のいい便利ツールはありゃしません。
とても単純な話で、自分を命がけで育ててくれたのが母親だと本能としてわかっているからです。

家庭を支えるために働いていて、育児に参加する時間がないという男性は多いでしょう。
それが悪いことでは決してありません。
家庭それぞれに役割分担があり、ルールも違うので、家庭内でそれぞれが納得していればそれでいいんです。
ただ、ぼんやりしていると子供と信頼関係を築くチャンスはどんどん失われていきます。
忙しくて家のことをやる余裕がない、というのもわかります。
でも、それって男性だけじゃないですよね。
私は女性ですが、時間外労働が月100時間を超える業務をしていたことがあるので、「仕事が忙しい」というのが具体的にどういう状態か知っています。
それでも、赤ちゃんのオムツを替えるくらいのことはできますよね。
オムツ替えるの、5分もかかりません。
赤ちゃんは夜中でもガンガン排泄しますから、深夜に帰宅してついでにササッとオムツ替えてあげればOK。
新生児のころは4時間おき程度に授乳させるので、深夜はミルクを作ってみるのもいいかもしれません。
夜中に起きてミルク作るの、すごくつらいんですよね。
パパが帰ってきて、ママも赤ちゃんもニコニコです。
幸せを共有するのって、とても簡単なことなんです。

あとは、不慣れなお父さんをお母さんは寛容に見守る必要があるとは思います。
たしかにイラっとするんですが笑、お母さんだって慣れるまで大変だったんですから、それを棚に上げて他人を責めてはいけませんね。

ちなみに、「オレはなにもしなかったけど風呂だけは入れた」と誇っていたお父さんもツイッターでお見かけしましたが、子供が娘の場合、父親が一緒に入浴するのはアメリカでは性的マルトリートメント(虐待)とみなされます。

マルトリートメントについては「子どもの脳を傷つける親たち」という本の書評で詳しく紹介しています。

風呂って一緒に入るより、出たあとのお世話のほうが大変なので、どうせならそっちをやってくれたほうがありがたいんですけどね。笑