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つぶやき

芸能人やミュージシャンはどうやって収入を得ているの?という疑問を考えてみた

Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(@nyamletblog)です。

今回の記事は、私の知る部分が限定的なため、「だと思う」とか「ではないか」という記述が多くなっています。
エビデンスとなる裏付けも添えていないため、なんとなくそんな感じかーという程度にお楽しみください。

Rolling Stone誌のWebニュース「ミュージシャンはどのように稼いでいるか? 複雑化する著作権ビジネス」に関して思うことを記事にしました。

しかし、そもそも俳優やアイドル、ミュージシャンはどうやって収入を得ているのか?という根本疑問がありますよね。
著作権ビジネスでは作家が搾取されているイメージが世間では強いようですが、そもそも著作権使用料は個人の作家(とくに音楽家)にとってメインの収益ではないだろうと思います。
印税が収益の柱だという人は、松本隆さんとか松井五郎さんとか筒美京平さんとか、日本代表クラスの一部作家だけではないでしょうか。
ちなみに私の大好きなスピッツの草野マサムネくんは、著作権管理団体NexToneの「NexTone Award 2017」ゴールドメダルを受賞しています。
「NexTone Award」とは、NexToneで著作権管理している著作物の「著作権使用料分配実績上位3作品」の著作者及び音楽出版社を表彰する制度だそうで、2016年1月からの一年間で分配実績が第一位だったということですね。

これこそまさに夢の印税生活ってやつです。
しかも「渚」で受賞って、どんだけ古い曲!
やっぱり好きなミュージシャンは売れているとうれしいというか安心なので笑、よかったなあ、スピッツ安泰・・・と勝手に胸をなで下ろしております。
これだけ収入あったらアルバムも3年に1回しか出なくても心配ないね・・・
スピッツはリリース遅いけど絶対出してくれるから心配してないよ・・・
しかも「渚」が印税収入一位でも、やっぱりファンは新曲が一番最高な曲だと思ってるよ・・・

すみません、心の声が一部漏れてしまいました。
さて、著作権ビジネスで大きな利潤を受け取っているのはおもに芸能事務所、レコード会社など企業や会社であろうと思います。
それは「搾取」しているわけではなく、たくさんのアーティストを抱えてたくさんの著作物を管理しているからです。
塵も積もればってやつですね。
著作権ビジネスの記事でも触れましたが、レコーディングの費用を負担する代わりに権利を保有したり、管理を代行しているため、その権利の取得は当然ともいえます。

また、サブスクリプションサービス(定額配信サービス)での料率が低すぎて収益にならないというのも、そこだけ取り出せば不当なように見えるかもしれませんが、そもそも旧譜の市場価値が短命であるということを注視しなければなりません。
旧譜は1年経ったらほぼ売れません。
映像作品も然りです。
1年どころか、おそらく初動が大きいのはリリースから一か月程度で、そのあとはガクッと売り上げが落ちる商品です。
だからレコード会社は「初回盤」なんかを作って、短期で売り上げを立てようとするわけですね。
半年も経って見向きもされなくなった旧譜は、レコードショップでも面出ししません。
セールスが回転しなくなった商品は、プレス商品として放っておいたらなんの収益も生み出しませんが、配信サービスに突っ込んでおけば勝手に回り出す可能性があります。
配信作業を完了したら、あとはなにもしなくても勝手に印税が生まれてくるわけですから、出さないほうが機会損失とも考えられます。
そういう意味では、サブスクリプションサービスは販売機会を増やすチャンスであり、関連コンテンツとして未視聴ユーザーに届く可能性が高いことも考慮するとプロモーションとしての意味合いが強いものであろうと思います。

世間で書かれている「著作権ビジネスはミュージシャンに不利益」という趣向の記事は、ある意味ミスリードではないかとも感じます。
先述したスピッツやMr.Children、サザンオールスターズ、B’zなどなど、S級ミュージシャンは印税額もそうとうな額なので、彼らは今後どう回収していくべきかを考えなければいけないのかもしれません。
ただ、彼らには潤沢な資金があるので、独立して自分たちでやっていく(みんなすでに独立していますが)とか、そこそこ売れているミュージシャンとは別次元の話になっていくんですね。

著作権使用料が収益の柱でないミュージシャンは、ではどのように収入を得ているのか?
これはわりとご存じかと思いますが、芸能事務所や音楽事務所、レコード会社との契約でお給料を受け取っています。
ググってみたら「ミュージシャンの年収」っていう記事がやまほど出てきました。
ざっくりとわかりやすい記事はこちらかなと思います。

ミュージシャンの給料・年収
ミュージシャンを目指す人のための情報サイト

ちなみにレコード会社との契約はだいたい2年や1年ごとに更新する形で、年間の編成を組むことになります。
「編成」とは、4月から翌3月の一年間でどのくらいリリースするかということを決めることです。
たとえば、5月と10月にシングルを出して、2月にはアルバムを出してね、とレコード会社と約束をするのが「編成」です。
レコード会社はそのリリース編成をもとに、だいたいこのアーティストだと何枚くらい売れて、ダウンロード配信でいくらくらい、サブスクリプションサービスでこのくらいと予想の目標数字を立てて、さらにライブツアーの動員数、グッズ販売の売り上げなど、来期の予算を組むわけです。
the pillowsはこの編成がイヤで、自分たちの事務所で完全にやっていくことにしたんですね。
実際には原盤権を事務所が持ち、レコードをプレスするのはキングレコードに委託しているようです。
キングレコードの所属ではなく、委託するだけなので、編成は自分たちで決定します。
さわおさんはこのことについて「長い時間をかけて、やっと自分たちがやりたいようにできるようになった」と語っていました(ライブのMCで話していたように記憶しています)。
好きなときにリリースすればいいのに、だいたい一年に1枚はアルバムを出してくれるピロウズ先輩。
さらに合間を縫ってプレデターズ、カサブランカも活動して、さわおさんって本当に天才だなと思います。

話が逸れましたが、基本的な収入は「お給料」という形で受け取っているミュージシャンがほとんどだと思います。
俳優やアイドルなどは、その活動ごとに出演料が発生することが多いため、契約の定期収入とは別に都度収入があるみたいです(別途支払われるかどうかは事務所との契約内容によって違います)。
テレビ出演、映画出演などで出演料が支払われ、その額は案件によって変動します。
「言い値」に近いですね。
制作会社と所属事務所が都度価格交渉をし、双方の着地点をすり合わせます。
ミュージシャンにはそういうことがあまりないので、やはりいわゆる「芸能人」より稼ぎは少ないだろうな・・・と思います。
出演料が発生するのは、依頼を受けて出演するライブ、つまりフェスやイベントなどでしょうか。
蛇足ですが私の最終学歴は音響・舞台照明の専門学校でして、卒業制作はすべて学生が仕切るライブイベントという、よくあるヤツでした。
アーティストのブッキングも自分たちで行い、私も(たぶん現在は活動していない)バンドの事務所に電話して出演交渉しました。
予算は税込50万円で、提案したところ大変喜んでいただき、「金額が大きすぎるので、仲のいいバンドを呼んでツーマンでもいいですか?」と逆提案されました。
実際には残念ながらこの出演交渉は流れてしまったのですが、当時は50万円が出演料として高いのか安いのかもよくわかりませんでした。

このようにしてお金の流れが生まれ、それを事務所が管理するのが通常です。
最初は芸能人もミュージシャンも利益を生み出すほど人気がありませんから、事務所やレコード会社は「初期投資」として、なにも売り上げを出さない人たちにお給料を支払うわけです。
そして、思いがけず超S級に成長したとき、契約内容がアーティストにとって不利な条件に逆転する場合も往々にしてあるわけで、よくワイドショーとかで見かける「芸能人と所属事務所の対立」みたいなのはこの契約内容に起因しています。
このあたりはお互いに賭けだと思いますけどね。
会社は無名の卵に期待をかけるという意味で資金提供をするわけで、回収できるかどうかは誰にもわからない。
一方、無名の卵は自分が何者なのかもわからない状態なのに毎月決まったお金をもらえる。
そういう意味で、エンタテインメント業界はギャンブル性の高い業態だとつくづく思います。

この業界システムは大昔からある、芸術家とパトロンの関係なんですよね。
モーツァルトもワーグナーもピカソもパトロンの支援があったからこそ、芸術活動に専念できたわけです。
しかしエンタメ業界もかなり不況ですから、近年はこのパトロンとしての役割を十分に果たせなくなりつつあります。
バブル景気のころはみんな目の飛び出るような契約金をもらったり、レコーディングのためだけにロンドンとかニューヨークに連れていってもらったりしていましたが、現在はそもそも契約自体が減っていると思います。
スカウトされるのを待っていたら音楽なんかいつまでたってもできない時代になりました。
ですから、他人から受ける報酬は期待せず、メインの就労をしながらサブで音楽活動をする人も増えています。
私の好きなCOMEBACK MY DAUGHTERS(@CBMDofficial)というバンドは、長い間メンバーが仕事を持ちながらバンド活動をしていました。
そのため土日のライブ開催が多くて、足繁く通っていたころは大変助かりました。
最近はご無沙汰していますが、日本コロムビア所属となったので、音楽一本で暮らしてるのかなあ。
まだ仕事やってそうだなあ。

ファンだから応援しているミュージシャンに還元されるようなことをしたい、という気持ちはありますが、消費者がなにをどう選択しても、基本的にミュージシャンへの実入りがそれによって大きく変わることはないだろうと思います。
芸能界はきな臭いようなイメージで語られることが多いですが、封建的で仕組みがガッチリしているのでよくも悪くも消費者の行動で変動が起こるようなことは考えにくいです。
(芸能界のきな臭さは別のところにあったりします。本当にうんざりするような話が履いて捨てるほど。)

ただ、スピッツがまさにそうですが、レコード会社が勝手にベスト盤を出しちゃって、バンドとものすごくもめるとか、そういうことはたまにありますね。
スピッツの場合はレコード会社と所属事務所との話し合いでベスト盤を出す、出さないの押し問答になっていたのが、レコード会社の強硬な申し出を事務所が抑えきれず、メンバーはあとからその事態を知って衝撃を受けた、という顛末だったそうです。
(だからスピッツはユニバーサルに対して全幅の信頼を置いていないんですね。)
この当時はファンの間で当然不買運動が起こりましたが、チャートを見てみたらものすごく売れまくっていて、「世間の人はベスト盤好きなんだな」と驚きました。
そして結果としてこのベスト盤が売れたことでスピッツのバンド活動も安定したわけで、まあそんなもんですよね。笑
あのベスト盤のタイトルを「リサイクル」にしたマサムネくんのセンスは、さすがだなと感心しました。
それを買う人にはタイトルの真意が伝わっていないんだけど、そこには最高の皮肉が込められているという、ささやかでスマートな反逆。