つぶやき

Rolling Stone Web記事が語る「著作権ビジネスをめぐる問題」について素人目線で考えてみた

Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(@nyamletblog)です。

ELLEGARDEN細美くんのラジオ「Hedgehog Diaries」ほか、いろいろなラジオ番組の文字起こしをしてくれているデミさん(@Takenoco0803)がツイッターで興味深い記事をリツイートしていました。
Rolling Stone誌のWebニュース「ミュージシャンはどのように稼いでいるか? 複雑化する著作権ビジネス」という記事です。

【2018.08.27追記】
当記事を一部裏付ける内容の記事がHARBOR BUSINESS OnlineでPOSTされていましたので追記引用します。

私の記憶ではサブスクリプションサービスの代表格であるSpotifyが登場してから、ミュージシャンの著作権ビジネスに関する論争が活発になったと感じます。
RADIOHEADのトム・ヨークが激しくSpotfy批判をしていたことはわりと記憶に新しい気がしていましたが、そのRADIOHEADもいまではSpotifyで配信されているという状況です。

一般的に著作権と言っても、関わりのない人から見るとなにが問題なのか非常にわかりにくいですよね。
実際、著作権はとても複雑な法律だと思います。
個人的に少しかじった程度なので、この法律に正しい見解を述べるのは難しいですが、多少見聞きしてきた経験からこの記事を読み解いていこうと思います。

著作権システムにより音楽家は搾取されているのか?

本題の結論から触れますが、私見としてはNOだと思っています。
権利と一口に言っても、アーティストや出版社、事務所の規模や活動方法によって権利のバックは千差万別です。
それゆえ非常にわかりにくい問題なのでしょうが、一概に「音楽家は搾取されている」とは思わないですね。
日本に限っていえば、著作権管理団体が公正な運営を目指しているので、その運営によって守られている権利者は多いと思います。

少し前にJASRACが「音楽教室にも著作権料の徴収をする」と発表してボコボコに叩かれていましたが、あれも個人的にはそこまで批判されることではないと感じていました。
だって、メロディを商材にしているんだから、売り上げから使用料を払うのはおかしいとは言い切れません。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチなどが強い嫌悪を示していましたが、あまり売れていないアーティストからしたら、使用料が入ってくるのはありがたいでしょうし、なにより自分の権利が正当に扱われていると感じるのではないかなと思います。
この問題はそもそもJASRACの運営に対して疑問を抱えている人が多いので、そのアンチテーゼとしてのバッシングが強かったのかなとも思います。
また、「学校教育での楽曲使用」(学校教育での使用は支払い免除されています)と「営利団体である音楽教室」を混同している人も多い印象でした。

ではいったいなぜ、「搾取されている」と感じる人が多いのでしょう。
おそらく、サブスクリプションサービスという「黒船」の出現前後、つまり「CDが売れた時代」と「売れなくなった時代」が分かれ目になっていて、不公平感を訴える人は「CDが売れた時代」の恩恵から抜け出せずにいるのかなと感じます。
Rolling Stone誌の記事に沿って考えていきますね。

「著作権」の権利者って誰?

ちょっと座学的な話になりますが、著作権というのは「知的財産権」に属し、「著作物がこの世に誕生した瞬間にその権利も発生する」ものです。
つまり、あなたが鼻歌でフフーンと歌ったメロディが、この世のどんなメロディとも同一でなければ、その瞬間にそのメロディの著作権はあなたのものである、ということです。
特許のように登録しなければならないものではありません。
しかし、そのまま放置しているとほかの誰かが先に発表してしまうかもしれませんよね。
そのときに「オレが先に考えたメロディなのに!」と訴えても、それを証明する方法がなければ負けてしまいます。
そこで、「このメロディは私が考えたオリジナルの知的財産です」と公表する必要があります。
それを個人でやることも可能ですが、とても大変なので代理で管理してくれるのがJASRACやNexToneなどの著作権管理団体です。

権利者は主に、「作詞者」「作曲者」「編曲者」「訳詞者」「出版会社」「原盤会社」などに分かれます。
Rolling Stone誌で記述している「パフォーマンス権」というのは、日本には事実上存在しないようです(私も初めて聞きました)。
「リプロダクション権」は原盤権、「シンクロ権」は映像と音楽を同期させる際に発生する権利のことです(映像に音楽をつけることを「シンクロ」といって、そこにも権利が発生するんですね。本当にややこしい権利です)。
「出版会社」と「原盤会社」ってなんだ?という疑問が多いと思いますが、ざっくり説明すると

出版会社:
その楽曲の使用に関して管理する会社。
使用許可の窓口になったり、楽曲管理団体から支払われる使用料を受け取り、各権利者へ分配する業務などを権利者に代わって行います。

原盤会社:
録音や記録メディア(CDやレコード)のプレスに関する権利を保有する会社。
一般的にはレコード会社がその権利を保有することで、権利者や演者(アーティストやパーフォーマーのことを著作権法では演者や実演家と呼びます)に代わって録音の費用を持つことで、原盤権を保有するというきまりごとになっています。

Wikipediaに面白い記述があったので、詳しく知りたい方はご一読をおすすめします。
「大瀧詠一のように、原盤権を実演家が自ら保有する例もある」

ここで実際の楽曲の権利者を見てみましょう。
ELLEGARDEN「風の日」の権利はこのようになっています。

ELLEGARDEN「風の日」
作詞:細美武士
作曲:細美武士
出版者:グローイングアップ
J-WIDより引用

J-WID 風の日

このJ-WIDというのは、JASRACの楽曲検索システムです。
誰でも見ることができます。
細美武士さんは「無信託」となっているのは、JASRACに権利を信託していない、つまりJASRACの会員ではないですよ、ということです。
出版者のグローイングアップは事務所ですね。
事務所がJASRAC会員になって全信託しているということです。
ちなみに「全信託」というのは、JASRACの会員になって、全部の楽曲をJASRACに預けますよーというお約束です。
このルールもけっこう叩かれてるんですよね。。。

さて、主な権利保持者は上記で、音楽がCDやカセットテープ、レコードという記録メディアでのみやりとりされていた時代には、その使用料の分配もシンプルでした。
また、テレビやラジオといった公共電波で使用される音楽は、これは日本だけですが「包括契約」という制度がJASRACにあり、年間一定の金額を支払えば、JASRAC管理の楽曲はいくら使ってもいいですよ、というルールがありました。
そこで長い間、テレビ局やラジオ局は「管理団体がJASRACかどうか」を調べた上で、カウントせずに楽曲を使用していたわけです。
近年になってそのルールも霧散したようで(このへんあまり詳細不明です)、現在は各番組がcueシートと呼ばれる使用楽曲一覧のシートを作成し、使用楽曲を個別に報告するようになっています。

ところがSpotifyを台頭に「サブスクリプションサービス」というものが登場し、これまでの料率では仕切れない、新しい分配が発生しました。
「サブスクリプション」とは「定額制配信サービス」のことで、定額を支払うことで一定期間、インターネット上に公開されているコンテンツを見放題、聞き放題で利用できるというサービスです。
個人の所有にはならないため(永久的なダウンロード保持はできない)、そこがCDやレコードとは使用料の料率が大きく変わったのではないかと思います。

記録メディアとサブスクリプションの最大の違いは「個人が保有するかどうか」で、当然その違いは大きなものです。
そこで、サブスクリプションでは使用料の料率がかなり低くなっています。
Youtubeなどはよく知られていますが、再生された回数に料率をかけた金額を動画制作者(ユーチューバーなど)に支払っていますよね。
これと同じように、サブスクリプションサービスも再生された回数により使用料が支払われます。
ですから、当然ですが何億回と再生された楽曲と、数百回再生された楽曲では収入が全然違うわけです。
これは私の想像ですが、サブスクリプションサービスが登場したときに料率の設定に関する業界の話し合いで、アーティストがそのテーブルにつくことがなかったというのが不満の一端ではないかなと思います。
なにもかもが手探りで始まったものですから、じゅうぶんな議論を尽くしたという納得感もないのかもしれません。
では、不満があるのなら権利者が出版権、原盤権を引き上げればいいじゃないかということになりますが、楽曲の制作には巨額の費用がかかっており、それを担保してもらう代わりに出版社やレコード会社に権利を付与しているわけで、よほどの資産がある人でなければ権利を引き上げるなどということは不可能です。
そもそも、権利の管理は個人でできるようなものでもないので、結果として権利者は第三者に権利の一部を預けるほか方法がないわけです。
そこが歪んだ不満を生む原因なのかなと。
実際、日本最大手の著作権管理団体であるJASRACも、独占禁止法に抵触しそうな運営ルールがかなりあります。
そのあたりは長くなるので、またの機会にでも笑

シンクロ権ってなに?

これは先述した簡単な説明と、Rolling Stone誌の記事にもあるとおり、映像に音楽を同期させることで発生する権利です。
映像が音楽と同期することにより、「映像だけで表現できるもの」ではなくなるため、「映像と音楽が一体化したひとつのコンテンツ」として生まれたものに対する権利、みたいなことでしょうか。
たとえば、映画「風の谷のナウシカ」で(古いか)、幼いころのナウシカが王蟲の幼虫を隠しているシーンがあります(古いか…)。
幼いころの記憶を回想するシーンで、子供のナウシカが「ランランララランランラン」と歌っている、あの音楽がなければ、あのシーンは映画として完成されないわけです。
そこで、映像と音楽が同期した「ひとつの作品」となり、そのことを「シンクロ」と呼んでいます(この例えでわかりました?)。

これは余談ですが、日本の権利と外国の権利(というか法律ですね)はそれぞれ違います。
日本の楽曲はほぼすべてが著作権管理団体に預けられているため、料率も決まっていますが、外国の楽曲は日本国内の管理団体が関与していないため、基本的に権利者本人(もしくは出版社などの代理人)と交渉することになります。
そして、料率が定められていないため、使用料は権利者の言い値になります。
言い値とはつまり、その人が言ったとおりの値段になるということです。
幼稚園の卒園DVDなんかで、人気洋楽をBGMに使ったりして、万が一それが権利者に見つかった場合、「じゃあシンクロ権で100万円ね」って言われたら払うしかありません。
これはみなさん気を付けてくださいね。
もっとも、見つかることはまずないでしょうが。

著作権料に代わる新しい収益、それがライブ事業

デジタル音楽時代におけるライヴ・イベントは、ミュージシャンにとって最も儲かる場として急速に発展している。
(中略)
アルバム・セールスが次第に先細り、一度に少額を稼ぐストリーミングが唯一の収入源となる中、ツアー、フェスティバルや1回限りのコンサートなどのライヴ・チケットに、かつてないほどの高値が付いている。

記事にあるとおり、ライブ事業は日本でも過去5年ほどで大きく成長しています。

ライブ事業の拡大に伴い、グッズなどマーチャンダイジングも大きな収益を獲得しています。
「モノ」消費から「コト」消費へと若者の嗜好が転換していることで、体験型の消費が経済の大きな柱となっているようです。
「体験型」で憧れのアーティストに追従したいという願望から、アーティストが身に着けているファッションやブランドも売れるようになります。
これに関してはアーティスト、楽曲権利者への利益はありませんが、コラボしたりデザイナーとして名を貸すことで新しい収益の柱となる可能性があります。
このあたりはまさに、先日行われたELLEGARDENのツアーが証明していますね。
またまた私見ですが、「欲しい人」に届けるのは販売者の努力義務だと思うので、ぜひエルレのツアーグッズは通販でも売り切れるなんてことのないようにがんばってほしいと願っております。

著作権だけで生活する時代は終わった。これからは21世紀型の活動を音楽家自身も模索する時代

印税だけで左うちわっていう音楽家は、もともと一握りだったと思うんです。
近年になって「権利を搾取されている」ってことになったわけじゃない気がします。
おそらくこの問題の根本は、著作権料を搾取されていることではなく、CDが売れなくなったことの影響が実感としてついに押し寄せてきたってことじゃないかと思います。
タワーレコードのアメリカ本店はとっくの昔に潰れたし、もはやCDを買っているのは世界でも日本人だけみたいです。
さすがガラパゴス。
私もガラパゴスの島民に漏れず、CD大好きですけどね。

それでもやはり、権利者が不満に思う原因である「権利を取り扱う複雑さ」は当然だろうとも思います。
市場が巨体化したことで、個人が管理できるようなものではなくなっています。
代理店として出版社やレコード会社が仲介していますが、仲介料が高いことに不満があっても、現実的に権利者は仲介を依頼する以外に方法はありません。
そして、収益の流れが仲介者へと太く幅広くなっていくことで、その力も結局は仲介者が持つことになってしまいます。
資本主義社会のだいたいがそうであるように、この権利まわりも「権利を束ねている者」に有利な仕組みになっています。
それを搾取と呼んで諦める人もいるけれど、でも違う角度で戦うこともできると思うんですよね。

記事の終盤で書かれていた「ライブ事業」や「マーチャンダイジング」は、アーティストそのものの魅力がなければ成り立たない事業です。
これからの音楽家にとって、ここが活路を見出すキーポイントではないかなと思います。
もし、エルレが新しいアルバムを出して、「CDいらないや」って思う人でも、そこにあの愉快な4人組からの手紙が入ってるって聞いたら、みんな買うでしょ?
愉快な4人組からの手紙、ほしいですね、実際。笑


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