つぶやき

「普通救命講習」で心肺蘇生法、AEDの使い方を学びました。大切な人の命を救うために受講を強くお勧めします

Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(nyamlet)です。

AEDってご存じですか?
駅や大型商業施設、たぶんライブハウスにもあると思います(あってほしい)。
急に倒れた人に使うんだよねって、私もそんな程度の認識しかありませんでした。
で、実際、使用しなければならない場面に遭遇したときのことを考えて、講習を受けることにしました。

過去に駅のトイレで女性が倒れたところに遭遇したことがあり、救急要請の119番通報をした際に、AEDの用意を頼まれたことと、「使えますか?」と聞かれたことで、かなり動揺しました。
そのときは倒れた人がすぐ意識を取り戻したのでAEDの出番はありませんでしたが、ふと冷静になって考えてみて、あのときAEDを自分が使えただろうかと想像すると、たぶん無理だったろうと思います。
でも、死んでしまうかもしれない状況でなにもできないっていうのはあまりにも無力だし、必ず後悔するでしょう。
そんなわけで、受講できる機会を得てありがたく参加してきました。

今回受講したのは「普通救命講習」です。
「JRC蘇生ガイドライン」というのが2015年に改訂したそうで、そのガイドラインに沿った講習でした。

JRC蘇生ガイドライン2015。変更点など6つのポイントまとめ

「AEDガイド」は心肺停止に関する幅広い情報を網羅しています。
救命に関心のある方はご一読をおすすめします。
AEDガイド

受講にあたり、講習用のテキストブックをいただいたのですが、こちらは無料配布ではないようですね。
(私は団体での受講だったので無料でいただきました)
東京法令から出版されていて、お値段は1,048円+tax。

普通救命講習テキスト
身につけよう応急手当 普通救命講習テキスト

けっこういいお値段ですね。。。
このテキストが非常にわかりやすいのですが、販売物なのでここでは別のテキストでご紹介します。

総務省消防庁ホームページ
一般市民向け応急手当WEB講習

講習で学ぶ内容としては上記のとおりです。
とてもわかりやすく図解されているので、ぜひじっくり読んでみてください。
実際にやってみて私が感じたポイントをここでご紹介しますね。

救命処置

心肺蘇生(CPR)とは

倒れた人(以下、傷病者と記します)に反応がなく、普段どおりの呼吸もない場合、呼吸と心臓の機能を補助するために「胸骨圧迫」「人工呼吸」を行うことです。
この「心肺蘇生を行う人」というのは、傷病者の近くにいる人(以下、バイスタンダーと記します)のことで、この記事では読んでいるあなたが該当者です。
心肺蘇生を英語で「cardio(心臓)」「pulmonary(肺)」「resuscitation(蘇生)」といい、頭文字を取って「CPR」と呼ぶそうです。

教習所で運転免許を取得された方はご対面したであろう、救命講習用の人形くん。
私は上半身だけの人形で講習を受けました。
人形を傷病者に見立てて、自分は通りすがりのバイスタンダーとして練習します。

救命処置には順番があり、お芝居のようですが決まり文句を一通り声に出します。
それによって自分自身が落ち着きを取り戻す狙いもあるようです。

①周囲の安全確認

傷病者を見つけると慌てて駆け寄る人がいますが、幹線道路や駅ホームなどでは大変に危険です。
救命しようとして自分が傷病者になったら元も子もないですからね。
まずは周囲が安全であるかどうかを必ず確認しましょう。
「周囲の安全よし」と声に出して言います。

②両方の肩をたたいて呼びかける

「大丈夫ですか、聞こえますか。(名前がわかれば呼びかけて)わかりますか」と声をかけながら、両肩をたたきます。
片方の肩だけをたたくと、脳梗塞で倒れている場合、半身がまひ状態のために反応がないからだそうです。
必ず両方の肩をたたきながら呼びかけます。
反応がない場合、「傷病者に反応なし」と声に出します。

③普段どおりの呼吸をしているか確認

「呼吸確認」と声に出し、傷病者の近くにひざ立ちになり、胸と腹部が上下しているかを目視確認します。
目視する際に、少し自分の頭を傾けてななめに見下ろすようにすると胸の動きがわかりやすいようです。
時計の秒針と同じ速さで「いち、に、さん、し、ご、ろく」とカウントして、その間に胸の上下が確認できなければ呼吸停止状態。
1から6まで数えるのは、成人が1分間に呼吸する数(正常呼吸数)が16~19回なので、おおよそ3〜4秒に1回程度呼吸をするだろうという目安で、6秒数えても胸が上下しなければ呼吸停止と考えられます。
できるだけ早く心肺蘇生をしたほうがいいので、「呼吸してるかな?」とのんびり見ているわけにはいきません。
そのため、6秒で見極めてください、と教わりました。
呼吸していないと判断した場合は「普段の呼吸なし、心肺蘇生開始」と声に出します。

④[その1]周囲の人に助けを求める

胸骨圧迫はかなり体力を要します。
ひとりで続けてできるのは1〜2分程度でしょう。
胸骨圧迫は止めてはいけないので119番に電話することもできませんし、後述しますがAEDの用意も必要なので、とてもひとりでは対応できません。
傷病者の処置をしながら、大声で助けを求めましょう。

具体的な声かけとしては
「誰か来てください」「人が倒れています」
「あなたは救急車を呼んでください」
「あなたはAEDを持ってきてください」

と近くの人に指示を出します。
このとき、呼びかけられた人は「自分以外の誰か」がやるだろうと思いがちです。
具体的に、相手の目を見て「あなたが○○してください」と指示したほうがいいとのことです。

もしも周囲に誰もいない場合は、すぐにあなたが119番救急要請をしましょう。

④[その2]心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)

周囲の人に助けを求めつつ、胸骨圧迫を行います。
傷病者にぴったりくっつくようにしてひざ立ちの姿勢になり、胸のまんなかに片方の手の根元(手掌基部)だけを当てます。
手のひらや指は胸に当たらないように浮かせ、反対側の手で上からグーの形に握ります。
実際やってみて戸惑ったのは、圧迫する手を置く位置がわからないことでした。
圧迫する場所を見つける方法を教えてもらったので紹介しますね。

【鎖骨からたどる】
両方の人差し指で左右の鎖骨をたどり、中央までくると骨が途切れます。
鎖骨のないポッカリ空いたすき間を下にたどっていき、胸の中央あたりが胸骨です。

【脇からたどる】
傷病者の左脇に手のひらを差し込み、そのまま胸の中央部まですべらせます。
個人的には脇からたどるほうがわかりやすいように思いました。

胸骨に手の根元をつけて、反対の手も上から重ねたら、「5センチ下まで押し下げるように」強く押します。
5センチはだいたい、親指の長さくらいでしょうか。
かなりの強い力でないと押し下げられません。
この強さで、1分間に120回の間隔で圧迫します。
1秒に2回押すということです。
だんだん疲れてくると、気づかないうちに押す力が弱まります。
同じ強さで圧迫し続けることを意識しましょう。
心臓は一回の拍動で約70ミリリットルの血液を流しているそうです。
一方、胸骨圧迫で流せる血液の量は30ミリリットル程度だそうです。
手で押すだけでは血流が全然足りないんですね。
そのため、できるだけ回数を多く圧迫し続けることが大事なんだそうです。

胸骨圧迫を30回したら、人工呼吸を2回します。
人工呼吸は、講習を受けたことがあり、なおかつマウスピースがある場合に行います。
やはり人工呼吸はためらいが大きく、さらに実際やってみても空気がうまく肺に入らず、難しかったです。
「できなければやらなくてもいいです。胸骨圧迫を止めないことがもっとも重要です」とのことでした。
人工呼吸ができない場合も、気道の確保はしましょう。
気道の確保は、おでこに手のひらを当てて、ボールをそっと転がす要領で頭を上向かせながら、反対の手の人差し指と中指であごを上に向けます。
あごの先が天を指すような向きにします。
意識がない人は筋肉が弛緩していて、舌が下がっている状態です。
舌の根元が気道をふさいでしまうため、窒息してしまうそうです。

バイスタンダーが複数人いる場合には、交代しながら処置を続けましょう。
胸骨圧迫はその場で教えれば誰にでもできますから、体力を消耗し切ってしまわないためにも、なるべくたくさんの人で交代しながらつなげていくことが重要です。

AEDを使う方法

AEDが到着したら、すぐに使用します。
40種類ほどあるそうですが、使い方は同じです。
東京の主要路線に設置されているAEDは2種類で、自分で電源ボタンを押すものと、ふたを開けると電源が入るものになっています。
AEDはとにかく、電源を入れることがすべてです。
電源さえ入れば、あとはAEDが音声で指示してくれます。

AEDは具体的にどういう働きをするのか?
私もいままで知りませんでした。
AEDは「心室細動」が起きているかどうかを調べる機械です。
心室細動とは、心臓がけいれんを起こして不整脈状態になることです。
脳震盪(しんとう)と同じ状態で「心臓震盪(しんとう)」とも言うそうです。

子供の場合、胸に強い力でドンと物がぶつかっても起きるそうで、野球でキャッチボールしているときや、サッカーをしているとき、プロレスごっこのような遊びでも起こる可能性があるとのことです。
心室細動が起きると、心臓がけいれん状態を起こしているのでマッサージしても意味がありません。
そこで、AEDが電気ショックを与え、心室細動を止めることで心臓マッサージが有効になるということです。

つまり、AEDがなにをしてくれる機械かというと
・心室細動を起こしているかどうかを調べる
・心室細動が起きている場合、電気ショックで細動を除く

AEDが「除細動器」と呼ばれるのは、「心室細動」を除く働きをするから、なんですね。
そして、AEDが細動を除いたあとは、心臓は細動しなくなります。
これはつまり、心臓が停止するということです。
AEDは「心臓を止める」機械なんです。
ですから、AEDを使えば心停止の人を助けるというわけではありません。
AEDでショックを与えて心臓のけいれんが止まったところで、初めて胸骨圧迫による心臓マッサージが効果を発揮するということです。
AEDを使ったあと放置していると、傷病者の心臓は止まったまま死に至ります。

ちなみに「胸骨圧迫」というのは、心臓をマッサージすることで心臓がもともと持っているリズムを取り戻すための処置なんだそうです。
心臓を体外からの圧力で動かし続けることによって、本来の脈拍に戻る可能性が高いということです。

救命処置ワンポイントアドバイス

消防署の方が講師でしたが、長い間救急車に乗っていたベテラン消防士の方で、実際の現場でのことをいろいろとお話しくださいました。

そのなかでなるほどと思うエピソードが大変多く、やってしまいがちなNG行動もあったので、ここでご紹介します。

119番に電話したらそのまま通話状態にしておく

救急要請をしたあと、あわてて電話を切ってしまう人が多いそうですが、傷病者の容体が深刻な場合はそのまま電話をつないでおきます。
通話状態にしておくことで詳細な位置情報を取得できたり、救急隊員が到着するまでバイスタンダーへアドバイスをしてくれます。
非常に心強いアドバイザーなので、電話は切らずにそのままにしておきましょう。

呼吸確認で判断に迷う場合は「心肺停止」と考えてよし。心肺蘇生は早ければ早いほどいい

目視だけでは、傷病者が普段どおりの呼吸をしているかどうかわからない場合もあると思います。
わからないときは「心肺停止」と決めちゃってよいそうです。
呼吸がある場合には、胸骨圧迫しても手が沈まないそうです。
グッと押してみたときに沈まない、傷病者がなんらかの反応をするので、とにかくわからないときは胸骨圧迫をしましょう、とのことでした。

また、倒れた人が口をパクパクさせていることがありますが、これは呼吸しているのではなく「死戦期呼吸」といって実際には呼吸していないそうです。
死戦期とは文字のとおり、死と戦っている状態のことです。
呼吸ができず生死の境であごがけいれんしている状態なので、すぐに心肺蘇生が必要です。

倒れたばかりの人は、体内に酸素がまだ多く取り込まれています。
その状態で心肺蘇生すると大変効果的だそうです。
とにかく1秒でも早く対処することが命をつなぎ、後遺症を残さないことにつながります。

子供への心肺蘇生

子供は大人に比べて頑丈ではないため、胸骨圧迫の力加減を変える必要があります。
子供の場合は片手で胸骨圧迫を行い、空いている手でおでこを後ろに反らせて気道確保するのがベストです。

AEDは外さない

AEDを使用して、心室細動を除いたあとは胸骨圧迫を続けます。
しかし、AEDのパッドは傷病者の体に貼ったまま、AEDの電源も入れたままにしておきます。
傷病者の心臓が再び心室細動を起こす可能性があるからです。
AEDをつけて電源を入れておけば、再び心室細動が起きたときに教えてくれます。
AEDを使用したら、救急隊員が到着するまで必ずそのまま使い続けましょう。

傷病者が母親の場合のAED使用の注意

倒れたのが母親の場合、一緒に子供がいるかもしれません。
子供は母親が倒れたショックで、母親から離れようとしない場合があるため、AEDで電気ショックを与える際には必ず母親の体から離れさせるように注意が必要です。
電気ショックを与える際に傷病者の体に触れていると、触れた人にも電気が流れてしまい、子供の場合は心臓発作を起こす可能性もあるということです。

人工呼吸をする際は、静かにやさしく息を吹き込む

人工呼吸ができる人は講習を受けた人でしょうから、受講時に聞いているかと思いますが、肺に空気を送る際にたくさんの空気を入れると肺がいっぱいになり、その空気は胃に漏れていくそうです。
胃に空気が流れ込むと嘔吐(おうと)の危険性があるため、人工呼吸をする際には「1秒間にフーッと静かにやさしく」息を吹き込むようにしましょう。
もしも自分の子供が心肺停止状態になったときには、ためらわず人工呼吸を行うと思います。
万が一のために知識としておぼえておいてください。

心筋梗塞の予兆

心停止状態で多いのが心筋梗塞によるものだそうです。
心筋梗塞は胸が非常に痛むので、強い胸の痛みが15分も続けばまず心筋梗塞を疑っていいでしょう、とのことでした。
血栓を溶かす薬があり、その処置が有効なのは発作から4時間30分だそうです。
タイムリミットがあるため、心筋梗塞の疑いがある場合はすぐに循環器系の病院で受診しましょう。

止血するときの注意

傷病者がけがをして出血している場合、止血が必要になります。
このとき、もっとも気を付けなければいけないのは「素手で触らない」ということです。
感染症などのリスクの観点から、他者の血液を素手で触らないようにします。
スーパーのビニール袋を手にかぶせたり、布やタオルを厚く手に巻いたりして保護しましょう。

また、出血がひどく、おさえていたタオルや布が血液でびっしょりになった場合、当てていた布やタオルを取り替えては絶対にいけません。
血液は時間が経つと凝固してくるので、おさえていた当て布に付着した血や傷口付近の血が凝固し始めます。
せっかく固まってきたのに、当て布を取り替えてしまうとまた出血してしまいます。
血が止まらない場合には、上からどんどん布やタオルなどを重ねていきましょう。

おわりに

今回の講習で、胸骨圧迫が本当に大変だということを知りました。
力のある男性でも、ひとりでは長く続けられません。
東京都内の救急車は、多摩地区も含めて253台しかないそうです。
救急要請は昨年で78万回、数年前までは救急車の現地到着が5~6分だったのが、現在は7~8分かかっているそうです。
つまり、バイスタンダーは救急隊員が来るまで最速で8分、普通に考えれば十数分の間、胸骨圧迫を途切れさせずに続けなければならないわけです。
ひとりではとうてい無理なので、周囲の人をどれだけ呼び込めるかが重要だそうです。

受講してみてわかったことは、知識として知っているのと、実際にやってみるのとでは雲泥の差があるということです。
実際に声に出して練習し、胸骨圧迫がどのくらい力をかけるのか、AEDをどうやって使うのか、やってみなければわからないことがたくさんありました。
また、実際にやってみたことで、現実に対処する場面でどうすべきなのかという不安が取り除かれました。

もしも、大切な人がとなりにいて、突然倒れたら。
そのとき、自分になにもできなかったら、とても苦しむと思います。
普通救命は誰にでもできる簡単な処置でしたので、みなさんにも受講をおすすめします。