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BOOK

育児あるあるの「困った」を「チャンス」に変えて子供の才能を伸ばす!子供の「困った」を具体例とともにやさしく解説する育児書の入門編

わがまま、落ち着きがない、マイペース…子どもの「困った」が才能に変わる本
田嶋英子:著
青春出版社

あらすじ

育児中、我が子の「困った」と感じる部分を理論的に分析し、「困った」から「チャンス・可能性」と捉えることで強みへと転換させるためのガイドブック。

乳児期、幼児期、小学校低学年、小学校高学年、思春期以降と項目別に「困った」事例を紹介。
乳児期では「きたない、ちらかす、寝ない、うるさい」といった誰もが抱える悩みを、幼児期では「おもちゃを譲れない、落ち着きがない、ものを投げたり壊す」など集団生活を始めた子供の不安を、小学校以降は勉強や人間関係、やる気や道徳観、性に関する問題などを解説していく。

「困った」と親が感じていることを、視点を変えることで子供のユニークさと捉えて伸ばすヒントがつまった一冊。

ニャム評

「あらすじ」の最後に記した「子供のユニークさ」とは、面白いとか愉快といった意味ではありません。
ユニークとは「唯一の、他にない」という意味で、システムの数値などで使われる言葉です。

本書は、育児中に「困った」と感じたことを「チャンス」として伸ばす方法を解いています。
読者に語りかけるような文章で読みやすく、ふだん本を読まない人でもすぐに読めてしまいます。

本書では、「困った」と感じたとき、その「困った」がなんなのかを理解することから勧めています。
困っているのは、親なのか?それとも子供なのか?
たとえば、子供が騒いで言うことを聞かないとき、困っているのは誰でしょうか。
子供は単に「騒いではいけない理由」を知らないだけで、困っているわけではありません。
では、それを静かにさせたい親が困っているということになります。
それでは、親はなぜ「静かにさせたい」のでしょう。
「そんなの当たり前だ」と思う人は多いですよね。
そう思うのは大人だけです。
大人には当たり前のことが、子供にはわからないのです。
だから、ただ「静かにしなさい」と言っても子供は理解できません。
静かにしなければいけない場所や、その理由、騒いでもいい場所との違いを子供にわかるように教える必要があるのです。
また、「静かにする」ということはどういう状態なのか、いつまで静かにしている必要があるのかといった具体的な説明も必要です。
このように、「困った」の具体例を紐解きながら、どのように子供と向き合うべきかを教えてくれます。

個人的によかったのは
・小学校低学年編「みんなと違う行動をする、協調性がない」
・小学校低学年編「いじわるをする、いじめる」
・思春期以降編「友だちがいない」
・思春期以降編「性的なことに興味がある」
でした。

「みんなと違う行動をする」という相談では、小学2年生の子供がほかの子と遊ばず、ひとりでねんどや折り紙をしているという話でした。
そのことでお母さんは学校の先生から「気をつけるように」と言われたそうですが、その先生がよっぽど気をつけるべきだと思いました。
ひとり遊びをしていて、なにに気をつけろと?
いまだに学校では没個性の付和雷同を賛辞しているのかと、やれやれな気持ちになりました。
この相談に関しては、「人と違うことをするのがこれからの時代に求められている」という観点で解説されています。
思春期以降編の「友だちがいない」もだいたい同じで、精神的に自立しているので心配ない、しっかりしている証拠、という解説でした。

この本でもっとも重要と思ったのはやはり「いじわるをする、いじめる」ということについてです。
人はなぜいじめるのか、その根本的な原因は「気持ちがいいから」だと明確に記し、そして「自分の子供がいじめをした」という事実から目をそらしてはいけないと言い切っています。
これは日本の社会ではもっと周知すべきことだと思います。
自分の子供がいじめる側だったとき、たいていの親は隠したりごまかしたりしようとします。
また、親がショックを受けてしまい、深く知ろうとせずに強く否定したり怒ったりして問題の本質を見ようとしない場合も多いでしょう。
だから、日本ではいじめは隠され、見つけにくく、そしてなくならないのだと思います。
「いじめ」については一読の価値ありです。
読んでいていろいろと考えさせられました。
子供を持つ保護者は、いじめられる側であってもいじめる側であっても、そのときにどう対処すべきかをシミュレーションしておくのがいいと思っています。

本書は育児セミナーの講演を聞いているような、読みやすくわかりやすい表現でつづられています。
読むのも簡単ですぐに読めてしまいますが、正直なところ私はあまり好きなタイプの内容ではありませんでした。
育児は家庭ごとの価値観も大きく影響するので、正解はないと思っています。
なので、個人の育児経験をもとにした「育児論」はあまりしっくりこないというか・・・
著者が本書で「母性本能」について書いているのを見て、ちょっと引いてしまったのもあります。
「母性本能」を語ってしまったら、父親はどんなにがんばってもお母さんには勝てなくなってしまうし、女性に「母性本能」を強要するのも間違っていると個人的には思うので、「母性本能」を持ち出す人はちょっとどうかなと。。。

「育児書って興味あるけど難しそう」と思っている人には、ライトな感じでサラッと読めるのでオススメです。