アッチとボンとドララちゃん
角野栄子:作
佐々木洋子:絵
ポプラ社
おはなし
おばけのアッチは、「レストラン・ヒバリ」のコックさん。
おばけなので、ちょっとかわったりょうりを作ります。
「くびかざりスパゲッティ」、「にらめっこおにぎり」、「あくびパン」なんてりょうりもあるんですよ。
明日はレストランがお休み。
アッチはスーパーマーケットへかいものへ出かけました。
そのあとをこっそりついていったのは、のらねこのボン。
アッチはおべんとうばこや、いろいろなたべものをかっています。
たのしそうにおべんとうを作っているアッチを、まどからこっそり見ていたボンですが、アッチがおべんとうをもって出かけるなんて知りません。
「おれは、さそわれてないぞ。のらねこは、なかまはずれかよ。」
ボンは、くやしくて、こんなことをおもいつきました。
その日の夜、ボンはこっそりアッチのだいどころへしのびこんで、じぶんが作ったおべんとうとアッチのおべんとうをとりかえてしまったのです。
つぎの日の朝、アッチはおべんとうをもって出かけました。
こっそりあとをつけていたボンは、アッチが大きなおしろに入っていくのを見ておどろきます。
アッチは、ドラキュラのまごむすめ、ドララちゃんのためにおべんとうを作ったのです。
ここがおすすめ
ドラキュラの孫娘、ドララちゃんとのらねこのボンが初めて出会うお話です。
ボンは、アッチが楽しそうにお弁当を作っているのを見て、どこかへ遊びに行くのだと思います。
そんな楽しそうなイベントがあるのに、自分が誘われていないのでちょっぴり傷ついてしまうんです。
仲間はずれにされたような、悲しい気持ちだったんですね。
それで、いじわるしてやろうと思いつき、こっそりお弁当箱を取り替えてしまいます。
こっそり取っちゃうのではなくて、自分でもお弁当を作って取り替えるというのが「おばけのアッチ」シリーズらしいですね。
このあと、アッチはドラキュラ城へ行き、ドララちゃんにお弁当を渡します。
ボンもこっそりついていき、窓からふたりの様子を見るのですが、お弁当を取り替えたせいでおそろしいことに巻き込まれてしまいます。
それは読んでのお楽しみですが、どうもこのドララちゃんという女の子が強烈で、児童書とは思えないキャラの強さにおののきます。
この「普通じゃない」物語の運びが子供を夢中にさせるんだろうなと感心させられるんですよね。
巻末にはアッチとボンが作ったお弁当のレシピも載っているので、子供と一緒にお弁当を作ってみるのもおすすめです。
アッチとボンとドララちゃん
角野栄子:作
佐々木洋子:絵
ポプラ社
「スパゲッティがたべたいよう」
40年愛され続けている「小さなおばけ」シリーズの第一作。
子供のひとり読みデビューにピッタリの児童書です