企画展「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展@PLAY!MUSEUM
絵本ナビで「がまくんとかえるくん」4冊ボックスセット販売中です。クリアファイルほしい。。。
Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(@nyamletblog)です。
いまもっとも流行している新型コロナウイルスによってもたらされたトレンド、「早期退職制度」に乗っかってみました。
その結果、有給休暇消化という素晴らしい日々を送ることになったニャムであります。ひゃっほう。
このご時世に気軽に退職しちゃってよかったのかどうか正直迷いますが、決めたことをくよくよ考えてもしかたない。
サラリーマンのころにはできなかったことをやろう!と思い、最初にやったのが「平日の午前中に美術館に行く」でした。
東京・立川市の立川駅北口にオープンした「PLAY!」という複合文化施設は、子供と保護者がワークショップを楽しめる「PLAY!PARK」と、“絵とことば”をテーマにさまざまな企画展示を行う美術館「PLAY!MUSIUM」が併設された屋内施設。
この「PLAY!MUSIUM」で「がまくんとかえるくん」の企画展が開催されていると知り、さっそく行ってみました。
恥ずかしながら「がまくんとかえるくん」という絵本の存在についてはよく知っていたものの、手に取ることはなく、この二匹の物語に初めて触れたのはニャ娘の教科書でした。
教科書の音読の宿題でニャ娘が読んでくれたのですが、その音読の素晴らしさ!・・・というのは親ばかで笑、しかしその心あたたまる物語にすっかり魅了されてしまいました。
ちょっぴりだらしなくてめんどくさがりのがまくんと、明るくて気配り上手な
かえるくん。
この二匹が織りなす日常には、たくさんの笑顔と、相手を思いやるやさしさと、ときに思わず吹き出してしまうユーモアが満ちています。
子供に読んであげたい名作と称賛され、世界中に多くのファンがいるのも納得です。
「がまくんとかえるくん」が誕生してから50年という節目にあたり、日本国内で初めて開催されたという「アーノルド・ローベル展」。
ミュージアムの入り口には「個人で楽しむ場合にかぎり、写真・動画撮影可」と書いてあります。
おお、なんと太っ腹。
びっくりして思わず受付のおねえさんに「写真、本当に撮っていいんですか」と聞いてしまいました。
にこにこ笑顔で「もちろんOKです」と太鼓判を押していただき、勇んで展示室へ。
美術館の開館時間は午前10時からなのですが、開館してすぐに行ったことが素晴らしくラッキーでした。
展示室の入場者は私ともうひとりしかおらず、まさに貸切状態。
新型コロナウイルスの影響で来場者が振るわないのだろうと思いますが、それでもここまで人がいないとは、かえって落ち着かずキョドってしまいました。
午前11時ごろからぐっと来場者が増えてくるので、じっくり鑑賞したい方には開館時間ぴったりに行くことをおすすめします。
ちなみに、隅々までじっくり見ると一時間半程度かかりました。
展示は大きくふたつにカテゴリされており、前半は作者のアーノルド・ローベルの人となりや彼がたくさん残した作品たちを紹介しています。
ローベルさんは絵を描いたり刺しゅうをするのが好きでしたが、物語を書くのは得意ではないと感じていたようです。
絵本作家としてデビューしたローベルさんは、絵本の挿絵の仕事をたくさん手がけ、その作品は100冊にも及んだそう。
そんな彼の口ぐせは「お絵かきはデザート、お話づくりはホウレン草」だったといいます。
絵を描くことが大好きだった一方で、物語を創作することには及び腰だったのでしょうか。
たくさんの作家が創作した物語に合うように画風を変え、多彩な絵を描いてきたローベルさん。
さまざまな物語に寄り添う絵を描き続けたことで、やがてそのスキルが「がまくんとかえるくん」誕生へとつながっていったのだろうと感じました。
ローベルさんの仕事が章を立てて紹介されていきますが、このなかで第4章の言葉が私の心を強く揺さぶりました。
「お説教はまっぴら[Don’t Preach Me!]」と書かれた題の下には、こんなことが書かれていました。
ローベルは「子どもたちにとって人生は牢獄だ」と語っていました。
子どもたちは、家庭や学校のなかで、大人たちからの制約に囲まれて日々を過ごしているからです。
子どもの頃、たびたび本の世界に逃げ込んでいたローベルは、同じように生活のなかで息苦しさを感じている子どもたちを解放するような絵本をつくりたいと思っていました。
(「アーノルド・ローベル展」展示物より引用)
小学生のニャ娘に「学校は牢屋みたいなものだ」と教えている私にとって、ローベルさんのこの言葉は大きな救いとなりました。
保育園が素晴らしい環境だっただけに、私とニャ娘にとって公立小学校の理解不能なルールは受け入れがたくうんざりしていたのです。
そうはいっても「学校は牢屋」なんて言ってしまっていいものか、多少の懸念みたいなものがあったのですが、ローベルさんの言葉に励まされました。
ローベルさんの生涯と作品群をたっぷり味わったあと、いよいよ展示の後半となる「がまくんとかえるくん」の世界へ。
若草色に染まった紗幕のトンネルをくぐっていくと、代表作である「おてがみ」が大きく張り出されています。
手紙をもらったことがないというがまくんに、かえるくんは手紙を書くのですが、このお話に出てくるかたつむりくんが私は一番好きです。
がまくんの家に手紙を届けてほしいとかえるくんから頼まれたかたつむりくんはこう言います。
「まかせてくれよ。」かたつむりが いいました。
「すぐ やるぜ。」
この「すぐ やるぜ。」が大好きなのです。
海外の絵本の素晴らしさは翻訳に拠るところがとても大きく、三木卓さんのこの訳はほんとうにすてきだなと思います。
夢中で写真を撮っていたのですが、これってもしかして図録に載っているのでは、と途中で気づきました。
「図録『がまくんとかえるくんができるまで アーノルド・ローベルの全仕事』」という書籍が発行されており、確かめてみるとやはり図録にだいたい掲載されていました。
図録は常設展「はらぺこあおむし」の部屋に置いてあるので手に取って見ることができます。
図録では見られない、この企画展だけで見ることができるのは「一日一年」というショートムービーと、ローベルさんと編集者のやりとりが記された原稿です。
「一日一年」は加藤久仁生さんというアニメーション作家が手がけた、がまくんとかえるくんの映像作品です。
「がまくんとかえるくん」のエピソードを盛り込みながら、春が来て冬になるまでの一年をアニメーションで表した数分間のショートムービー。
絵本がそのまま動き出したようなやさしいタッチで、かえるくんのいきいきとした動きやがまくんのキュートなしぐさが描かれています。
とくに「アイスクリーム」は動画ならではの表現が素晴らしく、がまくんがアイスクリームのモンスターになってしまう姿がコミカルかつキュートに映し出されていました。
ネタバレになりますが、このショートムービーの最後に「ひとりきり」のシーンが登場し、川に落ちたがまくんをかえるくんが引っ張り上げるのですが、そのあとかえるくんががまくんをぎゅっと抱きしめるひとコマがあって、絵本にはないそのシーンに心があたたまりました。
かわいらしい二匹の日々を見事に描き出した加藤久仁生さんのインタビューが公式サイトで紹介されているのでぜひご覧ください。
PLAY!インタビュー 加藤久仁生さん がまくんとかえるくんが動くまで
特別なアニメーション「一日一年」について
そしてこの企画展でしか見られないもうひとつの展示が、ローベルさんと編集者とのやりとりが記された原稿です。
原稿に編集者が提案や疑問などを書き込み、それを受けてローベルさんが修正を入れたり加筆するやりとりが解説文として添えてあります。
子供にふさわしい言葉を選んでいるか、がまくんとかえるくんの表情はストーリーに合っているか、展開が自然であるかどうかなど、編集者ならではの細かい目線でチェックを入れるとともに、「がまくんの表情がかわいい!」「これ好き!」など、読者としての素直な感想も随所に書き込まれているのがとてもすてきです。
「がまくんとかえるくん」が、この二匹を大好きな人たちによって制作されたということがひしと伝わってきました。
がまくんの「いちばん なかよしの かえるが ぼくのこと ころそうとしているんだ!」という最高にかわいいセリフは編集者とのやりとりによって追加されたんだそうですよ。
この展示を見ていると、名作を生み出すのはひとりきりでは難しく、互いをよくわかっていて信頼できるパートナーが大切ということがよくわかります。
それはまるで、がまくんとかえるくんのようでもありますね。
かわいいがぎゅっとつまった世界を堪能して展示室を出ると、おみやげコーナーがあります。
ほんわかした幸せの余韻を味わいながらおみやげを選ぶ時間もまた楽しいもの。
失業中の身としてはあまり散財できず、厳選に厳選を重ねてふたつ購入しました。
「がまくんとかえるくん」展に入場すると、受付で「おみやげ」がもらえます(有料の入場者のみ)。
第一弾は2月14日(日)まで「おてがみ」のオリジナルカード
第二弾は2月15日(月)から「クッキー」
なんと、「クッキー」のおみやげは、本物のクッキーが配られるんだそう。
アレルギーがある方などは「おてがみ」のオリジナルカードに変更することもできるそうです。
また、「おてがみ」は4種類あり、入場料1人につき1枚もらえますが、残りの3種類は1枚300円で購入することができます。
絵本ナビで「がまくんとかえるくん」グッズが買えます(※PLAY!MUSIUMオリジナルグッズの取り扱いはありません)