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「にじいろのさかな」シリーズ8作目は「相手の気持ちに寄り添う」。「こんなとき、ごめんねできるかな」と話し合いながら親子で読みたい一冊

まけるのもだいじだよ にじいろのさかな
マーカス・フィクター:作・絵
谷川俊太郎:訳
講談社

おはなし

海のなかをさんぽしていたにじうおは、あたらしい友だちのあかひれからかくれんぼにさそわれた。
いちばん先におにになったにじうおは、すぐにみんなを見つけられると思っていた。
けれども、ひとりも見つけることができなかった。

むしゃくしゃしたにじうおは、ちびあおにおにになるように言い、ぜったいに見つからないところへかくれてほくそえんだ。
ちいさなあおいさかなには見つけられないはず。
ところが、ちびあおはすぐににじうおを見つけてしまった。

すっかり怒ってしまったにじうおは、「ばかげたあそびだな」と言ってひとりでどこかへ行ってしまった。
ちいさなあおいさかなは、自分のせいでにじうおが怒ってしまったとしょんぼり。
ちびあおをなぐさめたあかひれは、にじうおにむかっておだやかに話しはじめた。

にじうおはあかひれの話を聞いて、ちびあおのうれしい気持ちをだいなしにしてしまったのだと気がついた。
でも、どうしたらいいんだろう・・・

ここがおすすめ

世界中の子供に愛され続けている絵本「にじいろのさかな」シリーズ8作目です。
シリーズ刊行25周年の記念として発刊されました。

今回ははじめて女の子が登場します。
赤いひれの、かわいい女の子です。
みんなでかくれんぼしようと提案したあかひれですが、かくれんぼに勝てなかったにじうおはすっかりへそを曲げてしまいます。
そしてそれは、ちいさなちびあおの心を傷つけてしまうのです。
まだ小さくて、かくれんぼが下手なちびあおに見つかってしまったことが、にじうおにとってはショックだったんですね。
でも、いつもかくれんぼで負けていたちびあおにとっては、にじうおを見つけたのはとてもうれしいことだったんです。

にじうおの負けずぎらいな性格のせいで、友だちはすっかり落ち込んでしまいました。
そして、あかひれは、意固地になったにじうおに、そっと語りかけるのです。
これはただの遊びなのだと。
いつも勝つことはないのだと。
そして、相手の気持ちを考えて、にじうおはどうすべきかを教えます。

この物語のすてきなところは、にじうおが自分の非を認めてこう言う場面です。

「そんなゆうきがあるかなあ。ほんとにはずかしいよ。」

自分の行いを恥ずかしいと認め、それでもきちんと謝ることができたのは、友だちがそばにいてくれたからだと思うのです。
そしてその友だちが、自分を信頼してくれていると知っているから、素直になれたのではないでしょうか。

日本の学校では同年齢の子供と一緒に過ごすことが圧倒的に多いですが、あかひれのような「ちょっとお姉さん」的な存在は子供にとって貴重な存在ではないかと感じます。
昔は学校から帰ると家に隣接する公園で自然に異年齢児と一緒に遊んだりしましたが、いまはこういう機会が減っているような気がします。
居場所が学校の教室しかなく、そこでうまくやっていけなかったら自分の居場所が失われてしまう。
そんな息苦しい環境一択よりも、習い事や課外活動で異年齢児と触れ合える機会を設けるのは子供にとっての環境を広げてあげられることなのかもしれない、などと思ったりしました。


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まけるのもだいじだよ にじいろのさかな
マーカス・フィクター:作・絵
谷川俊太郎:訳
講談社

日本の出版元編集者のインタビュー記事も「絵本ナビ」で公開されています。
「にじいろのさかな」の紹介記事で私が「にじうおは銀のうろこをあげるのに、なんでほかの魚はなにもくれないのか」というモヤモヤを書きましたが、出版当時、この反応はけっこうあったという話も出ていました。
大人はみんなセコいですね。笑