BOOK

40年愛され続けている「小さなおばけ」シリーズの第一作。子供のひとり読みデビューにピッタリの児童書です

スパゲッティがたべたいよう
角野栄子:作
佐々木洋子:絵
ポプラ社

おはなし

町一番のレストラン「レストラン・ヒバリ」はいつもお客さんで大にぎわい。
レストランの屋根裏に住んでいるおばけのアッチは、おいしいものが大好き。
夜になるとそーっとレストランへ忍び込み、姿を消してはいたずらで人々を驚かせます。
みんながびっくりしている間に、お料理をひとくちパクッとつまみぐいしてしまいます。
ある日、アッチがおさんぽをしていると、どこかからいいにおい。
おいしいものが大好きなアッチは、いいにおいのするほうへ飛んでいきます。
窓からそっと中をのぞくと、小さな女の子がスパゲッティを作っていました。
あのおいしそうな食べ物を横取りしようと、アッチは女の子の家に忍び込んで、女の子をこわがらせようとしますが・・・。

ここがおすすめ

いまも新作が刊行されている「小さなおばけ」シリーズの第一作目です。
初版が発行されたのは1979年とのことで、40年近くも読まれ続けてきた大ベストセラーですね。
私自身も幼少のころに読んだ、大好きな本です。

第一作目では、アッチはいじわるでずるがしこいただのおばけだったのですが、スパゲッティを作っていた小さな女の子・エッちゃんと出会ったことで、アッチが成長していきます。
ごちそうは横取りすればいいと思っていたアッチが、大好きなエッちゃんという友だちを得て、おいしいものを食べさせてあげたいと思うようになっていくんですね。
そのためにお料理の練習をして、ついにはレストラン・ヒバリのコックになっちゃうんです。

このおはなしで私が一番好きな場面は、レストランでアッチがごちそうを横取りするところです。

ピラフだったらグリンピース。
えびフライだったら、かりかりしたしっぽ。
フルーツポンチだったら、さくらんぼ。
コーヒーだったらはじめのひとくち。
カステラだったら、下のちゃいろいべたべたしたところ。

読んでいるとなんだか本当においしそうに見えてきて、エビフライのしっぽが一番おいしいところだなんて知らなかった!と子供心にカルチャーショックを受けたことをはっきりとおぼえています。
でも、それってアッチの好みだと思いますけどね。笑
この本に洗脳されて、私はいまでもカステラの一番おいしいところは「ちゃいろいべたべたしたところ」だと思っています。

児童文学なのに、主人公がいじわるなおばけというのも、角野栄子さんらしいユーモラスさ。
そして、おばけが出てもちっともこわがらない、気の強くてしっかり者のエッちゃんも、角野栄子ワールドの魅力的な女の子です。

我が家ではニャ娘に4歳のころから読み聞かせていますが、5歳になったいまは自分で文字を追って読んでいます。
ページ数も多すぎず、文字が大きくて、ひらがなをおぼえ始めた未就学児がひとり読みするのにピッタリです。
ハラハラする展開に夢中で、何度読んでも飽きず、初めてひとりで全編読み通した記念すべき作品となりました。

スパゲッティがたべたいよう ニャムレットの晴耕雨読

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スパゲッティがたべたいよう
角野栄子:作
佐々木洋子:絵
ポプラ社

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