きみは赤ちゃん
川上未映子:著
「乳と卵」で芥川賞を受賞した作家の妊娠出産エッセイです。
関西弁で過多な比喩表現が濃いのが最初は気になりましたが、ギャグベースで語られるので笑いながら読めました。
妊娠出産のあるある話が基本ですが、無痛分娩を選択したという経験談、実際にかかる費用の詳細などが興味深く面白かったです。
(無痛分娩を選択したものの…まさかの結末には度肝を抜かれましたが)
経産婦はたいていみんな思うことだと思いますが、とにかく地獄、妊娠中も産後も形の違う地獄が待ち受けていて、読みながらわかる!わかる!と力強く頷く場面が何度もありました。
妊産婦の現実をかなり真実に近く描写していると思うので、これから赤ちゃんを迎える予定のプレお父さんにはぜひ読んでもらいたいと思います。
それにしても、川上未映子さんという人はフォトジェニックというか、インタビューなどで露出しているイメージと実際の人間像がかなり乖離しているというか・・・
このインタビュー記事を見て別人かと思いました。
あんた全然違うじゃん!と。
サービス精神旺盛な方なんだろうなと思います。
そんなところも好感が持てました(逆に)。
作中に出てくるだんなさんの「あべちゃん」が阿部和重さんだということも、このインタビュー記事で初めて知りました。
どうしようもなくいろいろ考えてしまうタイプの人にとって、妊娠出産というイベントはかなり精神的にしんどいことと思います。
でも、それでも、いろんなこと込みで「生きててよかった」と思えるようなエッセイです。