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「再放送」の名のとおり、過去の名シーンがあちこちに散りばめられていて、宝探しをするようなワクワク感でいっぱいです。the pillows「REBROADCAST」レビュー

the pillows「REBROADCAST」
22nd album
2018/09/19 release

Hello world!
あなたの心のおとなりさん、ニャムレット(@nyamletblog)です。

我らがザ・ピロウズの22枚目のアルバム「REBROADCAST」がリリースされました。
発売されてからこのアルバムしか聴いてなくて、たぶん100回くらい聴いたかなぁ。
いつものことですが、ピロウズの新しいアルバムが出ると何回聴いても飽きなくて、聴けば聴くほど気づきや発見があって、自分のなかに取り込む作業が終わるまでほかの楽曲が耳に入らなくなってしまいます。
今回もそんな最高傑作に仕上がったアルバム、その感想をつらつらとご紹介します。

Rebroadcast
今回もこの1曲目がアルバムの幕開けにふさわしく、ライブツアーでも1曲目になること間違いなし!という祝祭的なオープニング。
歌詞のなかの「雷雨の中で花火を見た事があるかい」というのは、さわおさんが去年本当に見た景色だそうです。
車で移動中、その非日常的ですさまじい景色が忘れられず、今回のCDのジャケットのイメージになったそうです。

Binary Star
来ました!
私の大好きなタイプの曲。
今回のアルバムで一番好きな曲です。
変拍子でアッパーな楽曲といえば「RUSH」がすぐに思い浮かびますね。
このリズムが体になじむと、本当に気持ちよくて何度も何度も聴き込みました。
たぶんアルバム内の人気ランキングではかなり下位だろうと思いますが、じっくり聴くとピロウズの魅力がそこかしこに詰まっているんです。
Peeちゃんの最高にかっこいいファズ・ギター。
間奏あとの大サビ「アーモンドにミルクを」(とくに「アー」の音・笑)のさわおさんの美声。
「脳天を貫けジュピター」と「Noと言いたくて背いた」の歌詞の韻を踏む遊び。
変拍子に乗りながらキメのタイミングをつかむ気持ちよさ。
「Binary Star」の意味は「双子星」「連星」ですが、さわおさんいわく「インターネットで調べてくれ」だそうです。
個人的には歌詞冒頭の「偽りのない愛を提供してくれるペットさながら」というのはバスターズ(ピロウズファン)のことかなと思っていて、そんなピロウズラブなバスターズとさわおさんは互いの引力で引き合って回る双子星みたいなもの、なのかなと。
ちなみに「連星」は肉眼ではひとつの恒星に見えるけれど、実際はふたつ(もしくはそれ以上)の星が重なってひとつに見えているんだそうです。

ニンゲンドモ
タイトルだけ見たとき、まさか「Smile」の最新バージョンか? クタバレニンゲンドモ再来か? とおののきました。笑
しかもアルバムのリード曲って、今回のアルバムはいったいどうなってるんだろうとかなり戸惑いました。
なので実際に楽曲を聴いて安心しましたよ。笑
ミュージックビデオにはnoodlesのyokoちゃんと、サポートメンバーのアリエッティこと有江さんもいて、スペシャル感のある仕上がりでかっこよかったです。
yokoちゃんはCasablancaというバンドをさわおさんと一緒にやっていて、noodlesもピロウズも好きな人にはたまらないバンドです。
さわおさんにとってのスーパースター・佐野元春さんのスタイルであるポエトリー・リーディングを取り入れた、ピロウズでは珍しい楽曲ですね。
ポエトリー・リーディングのスタイルは、ライブ会場と通販で販売したシングル「ぼくのともだち」に収録された「ガラテア」という曲が記憶に新しいです。
「ガラテア」の歌詞は本当に素晴らしくて、私は初めて聴いたときになんて優しい歌だろうと思わず泣いて、友人のあひるちゃんに「さわおさんが!『キミは変じゃない そのままでいいんだ』って言ってる!」とメールしたほどでした。
ピロウズが好きな人はぜひ買って聴いてみてほしいです。
この「ニンゲンドモ」も「ガラテア」に通じるような、さわおさんの世間に対する率直な思いがつづられています。
年を取るごとにさわおさんがわりとストレートな球を投げるようになってきたと感じますね。
そういう感じ、すごく好きです(^^♪

ぼくのともだち
この曲はシングルを持っているので、あえてアルバムに入れたんだなと思いました。
この曲はさわおさんの幼なじみ、HERMITこと岩田晃次さんのために書いた歌だそうです。
北海道小樽市の銭函という町がさわおさんと岩田さんの故郷で、中学生だったふたりは音楽の話ばかりしていたそうです。
さわおさんいわく「岩田は天才ギタリストだけど、ずっと体調が悪い。そのせいで心まで病んできて、全然音楽をやってくれない」んだそうです。
そんな岩田さんの新曲が聴きたいという願いを込めて作られた、「ぼくのともだち」に捧げられた曲です。

箱庭のアクト
前の曲「ぼくのともだち」のアンサーソング、「ともだち」側から見て作った曲だそうです。
さわおさん自身も言っていますが、「ストレンジ カメレオン」や「ハイブリッド レインボウ」「トライアル」のような、疎外感や絶望の景色をつづった歌詞が第二期ピロウズを思わせます。
すごくせつなくて、グッとくる歌です。

眩しい闇のメロディー
たぶんこのアルバムで人気No.1の座を獲得するような、とてもキャッチーな楽曲ですね。
「純平、考え直せ」という映画の主題歌になりましたが、この曲自体はもう10年くらい前からあって、やっと日の目を見ることができたんだそうです。
レコーディングではメンバーに「FLAG STARの感じで」と伝えて完成したそうです。
「FLAG STAR」とは歌詞の世界は180度違いますが、アルバムの後半に満を持して登場するロックバラードとして最上の楽曲です。
これ、ライブで聴いたらすっごく盛り上がるだろうなぁ。

Bye Bye Me
ピロウズのアルバムでは終盤に登場する、アルバムの全体を象徴するようなテイストの楽曲だと思ったのですが、この曲のあとに続く「Starry Fandango」もそういったタイプの曲で、そういう曲が2曲続くのが意外に感じました。
歌詞にもアルバムのタイトルが入っていて、タイトル曲っぽい感じがします。
この曲を初めて聴いたときから、ライブハウスでさわおさんが歌っている姿がはっきり見えるようでした。
そしてみんなが笑顔で耳を傾けている風景が目に浮かびます。
それにしてもさわおさんはすっかりビール派になったんですねぇ。

Starry Fandango
このイントロを聴いた瞬間、バスターズなら120%「thank you, my twilight」を連想しますよね。
こういう、象徴的な音や手法が今回のアルバムには散りばめられていて、長年のリスナーとしては宝探しみたいで聴いていて本当に楽しいアルバムです。
本当はイントロのフレーズはトランペットにしたかったそうですが、トランペットの鳴らせる音域がイメージと合わなかったそうで、今回のアルバムの「再放送」というキーワードに則って「~twilight」の手法が用いられたとのことです。
「拒んでもまとわりつくのさ 手放して置いてきた心」
「憂鬱を騙して踊ろうぜ」

という歌詞がなんとなくいまの私の状況に寄り添ってくれて、なんだかちょっと救われるような気がします。

BOON BOON ROCK
これもまたバスターズの心のど真ん中を射抜くような、最高に感激する曲でした。
ローファイボーイ、ファイターガール、キミは僕だよ!
これを聴いた瞬間、うれしくてパッと顔が輝いちゃいました(#^^#)
「ローファイボーイ 隠し持ってるプライドを 今夜見せびらかしてくれ
ファイターガール ムキになったこだわりは ちゃんとキミを見守ってるぜ」

この言葉にずっと支えられてきたピロウズリスナーは多いんじゃないでしょうか。
「心はまだキミだけの物か
安っぽい悪意に負けてたまるかよ」

さわおさんの言う「安っぽい悪意」というのが近ごろ特に目に付くようになったと私も感じます。
同じように「安っぽい善意」、これは「ニンゲンドモ」で語られている偽善者のことですが、それもまたテレビで垂れ流されているような気がします。
テレビも昔はもう少し有益だったように思うんだけどなぁ。
音楽は私たちを裏切らない。
さわおさんが二段ベッドで聴いていた音楽、HERMITの岩田さんと一緒に聴いていた音楽、その音楽はいまも私たちに「ここじゃない世界」を夢見させてくれてくれています。

Before going to bed
アルバムの最後は遊び心のある曲や、シンガロング的な曲で締めくくられることが多かったので、イントロを聴いた瞬間「あら!?」って思いました。笑
これはまた斬新な・・・
さわおさんいわく「ドキュメンタリーにこだわりたかった」そうで、レコーディングも2回くらい録ってそれでOK、Peeちゃんのギターは一発録りだったそうです。
歌詞もまたびっくりするくらい赤裸々ですね。
さわおさんのいろんなインタビューで見かける、北海道から上京したころのバイト話なんかが盛り込まれています。
さわおさんが印刷会社でアルバイトしていて、そこでプリントのやりかたを知って、ピロウズのTシャツは「Tシャツくん」でさわおさんが作っていたという逸話も有名ですね。
ピロウズのTシャツをはじめアートワークはほぼさわおさんが手がけていて、そのセンスも大好きです。
最近ではさわお&わさおのコラボTシャツがお気に入りで(東北支援として売り上げを寄付しているっていうのもさわおさんらしい)、毎回新作を楽しみにしています。

ピロウズのアルバムはジャケットのどこかにバスターくんが隠れているのですが、今回は見つけられず「バスターくんいないのかな」と思っていました。
で、さっきふと帯の裏を見たら、答えがありました。
こんなところにいたのか!笑
たいてい表3とか表4と呼ばれる、アルバムの背表紙(表4)もしくはCDの盤の裏側に接面するところ(表3)に隠れているんですよね。
あなたはバスターくん見つけられましたか?
昔のアルバムも探してみてくださいね。

ピロウズはファンクラブがあって、年に数回会報が届きます。
アルバムがリリースされると、さわおさん本人によるアルバム全曲解説がありまして、これを読めばほかのインタビューはいらないんですね。
ほかでもないさわおさん本人が一曲ずつ解説するんですから。
この解説を読んで、私の解釈は間違ってなかったー、やっぱりさわおさんもそう思ってたんだー、って答え合わせをするのがまた楽しくうれしいんです。
だって、バスターズに直接語りかけてくれるアルバム解説なんて、世界でこれしかないですから。
さらにファンクラブ会員には、たまにさわおさんからメールが届きます。
メールマガジンなんですが、さわおさんがバスターズに「元気かい?」って送ってきてくれるので、100%さわおさんからのメールと思ってOKなやつです。
じつはこのメールこそ、ファンクラブで一番スペシャルな入会特典だと思います。
本当に、私(というかファンのみんな)にさわおさんが伝えたいことを送ってくれるんです。
さわおさんって、お互いに大好きな相手にはびっくりするくらいていねいで親切な人なんですよね。
そんなさわおさんにどこまでもついていくよ、って思います。
これからもずっと。


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