ジョイランド
スティーヴン・キング:著
土屋晃:訳
海外文学は作品内で描かれる風俗や登場人物の名前が単純に馴染みにくいため、どうも苦手でした。
が、かの巨匠の新作が文庫で出ているということで興味を持ち、手を出してみました。
世界的人気作家なので大ファンも多数いらっしゃるでしょうが、キング・ビギナーのつたない感想を述べさせていただきます。
結論から言って、非常に面白く、感動的な物語でした。
デヴィンという勤労学生が働くことになった遊園地、ジョイランド。
その遊園地で昔、若い女性が殺害されたことを知り、デヴィンは仲間たちとともに真相を探ろうとします。
大筋はそれだけ。
ややこしい伏線や、明らかに思わせぶりな出来事も特にはありません。
が、なんの違和感もなく読み進めていたのに、あんなところに仕掛けてあったのか!と驚くような種が蒔かれていたり、あの出来事はここに着地するんだったのかー、と感心するような、とにかく洗練された美しい流れに乗って物語が運ばれていきます。
当たり前ですが、さすが世界中にファンを持つ巨匠の書く文章は超一流だなと感心しました。
美しい文章を読むというのは、ストレスがなく気持ちのいいものです。
これを原文で読めたらもっと楽しいだろうな・・・
ざっくり言うと「遊園地の幽霊の真相を追う」というストーリーですが、生きている人間の優しさ、思いやり、愛が詰まった、ノスタルジックな物語です。
サクッと気軽に読めるボリュームも◎です。