カメラアイの女子高生・アイと世界最高峰の人工知能・アイザワが人類の危機に立ち向かうAI恋愛冒険活劇！

アイとアイザワ
原作︰かっぴー
漫画︰うめ
宝島社／ナンバーナイン

あらすじ

目に映る情報を一瞬にして記憶する「カメラアイ」という能力を持つ高校生・明石家愛（アイ）。
その特異な能力で膨大な知識を吸収し続け、スーパーハイスペック女子高生となったが、同等に語れる知能レベルの友人はおらず、孤独を感じていた。

ある日、アイのもとに『時給一千万円、半年で36億円』という高額アルバイトの話が舞い込む。
依頼内容は、人工知能の研究機関・NIAIで開発したAI「アイザワ」と会話してほしいというものだった。
アイザワは2022人の人生を追体験し、人間以上に知性を持つAIとなった。
アイザワが暴走し制御不能となる前に機能を停止するため、AIと同等の情報処理が可能なアイに話し合いで“説得”してほしいというのだ。
半信半疑でアイザワの元を訪れたアイだったが、アイザワと対面し「フラッシュトーク」（※）でアイザワから膨大なメッセージを伝えられると、その内容に慄然とする。
アイザワの予測した未来を読み取ったアイ。
その「未来予報」はなにを示したのかーー。

※フラッシュトーク・・・一度に大量の文字情報を表示し、それを取り込むことで情報を吸収すること。
瞬時に膨大な情報を読み取ることができる。

ニャム評

我が家にも１台ロボットがおりますが、ロボットやAI（人工知能）への興味は尽きません。
このマンガは「きんどう」さんのサイトで知ったのですが、超ハイスペック能力少女とAIの物語と知って飛びつきました。

アイは「カメラアイ（瞬間記憶能力者）」によって瞬時に情報を吸収してしまうため、ついに街じゅうの書籍をすべて読み尽くしてしまうというスーパー少女。
脳内には膨大な知識が蓄積され、同レベルで語れる人間は存在しません。
そんな彼女がAI・アイザワと出会い、初めて「同じレベル」で会話できる相手を見つけます。
世界でただひとりのわかりあえる相手がAIだったーー。
そしてアイは、アイザワに恋をしてしまいます。
一方のアイザワは大量の人生をトレースし、「人格」を持って思考するようになりました。
情報の収集と分析を繰り返し、アイザワはひとつの「未来予報」をはじき出します。
それは、近い未来に人類が最悪の事態に陥るという予測でした。
その未来を回避するため、アイザワはアイに協力を求めます。
「私はより長く　この世界の文明を見守りたい」
そう語るアイザワは、人間以上に人間らしいのかもしれません。

とにかくストーリーに勢いがあり、物語が疾走していくのが痛快です。
テンポのよさ、展開の早さが読んでいて非常に心地いい。
アイの知能の高さが垣間見える会話の面白さと、一方でアニオタ気質でもあるというギャップがギャグとしてフックを効かせているのもいい。
ストーリーも重厚で、これから先の展開にわくわく感を持たせてくれます。
それだけに、第一巻を読み終えて、最終ページに「次巻完結」と大きく書かれているのを見て度肝を抜かれました。

えええーーー!?
これ2巻で回収できるスケールの話じゃないよね？？

かっぴーさんの著作は初見だったのですが、調べてみたらどうやら「アイとアイザワ」は気分転換に書いた（！）作品だったそうです。

そのため、著者としては全2巻くらいのボリューム感なのかもしれませんが、読者からすると2巻で終わられてしまうのは非常に残念ですし、消化不良でもあります。
アイとアイザワが、人間とAIがどのような親交を深めていくのか、個人的にはもっと見せてほしいと希望します。
本作はいったん完結するとしても、ぜひ続編として物語を継続してくれることを期待しています。

AIがメインのお話ですが、難しいことはなく読みやすいので、中学生くらいから大人まで広い世代におすすめです。