美しい子ども (新潮クレスト・ブックス)
この前に「心臓を貫かれて」を読んでいて、ものすごく心がよどんでいたので、短編の軽さと文章の美しさ、外国文学のよさ(日本とは違った風俗や景色を見ることができる楽しさ)を心から満喫できました。
また、装丁が素敵です。
やっぱり紙の本は目に見える美しさを楽しめていいなあと思います。
どれもみんな面白く、良い作品でしたが、いくつか拾い上げてみますと「水泳チーム」がとっても面白く、「若い寡婦たちには果物をただで」が特に心に残りました。
「エリーゼに会う」は老人の憐憫さと若者の傲慢さがよく描かれていて、でも若者が老人の心を酌むのは難しいだろうなあ、若者は傲慢だからこそ美しくいられるのだろうなあなどと思いました。
表題の「美しい子ども」はこれぞ外国の風俗、環境、性格という感じがしました。
日本人同士だとここまで環境とか育ちとか価値観に差異がないように思います。
本の見出しにあるとおり「短編小説はこんなにも自由だ」と思わせてくれる一冊でした。