人間であれば、どんな人にでも生き直すチャンスが与えられている

プリズン・ブック・クラブ――コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

ウォームズリー・アン：著
向井和美：訳

紀伊國屋書店

カナダの刑務所内で実際に行われた、囚人たちによる読書会の様子を綴ったノンフィクション。
著者のアンは友人に誘われ、ボランティアとして囚人たちと共に課題図書を読み、その感想を語り合うという活動を始めます。
課題図書の感想を語り合うシーンも読みごたえがありますが、この本がなにより素晴らしいのは「人間の良心に触れ、善良さに目覚めていく」という、人間の心の変遷を追体験できるところです。
重犯罪を重ねた囚人たちが、読書を通して「善」とはなにかを議論し、学び合い、自分自身を見つめ直していく過程は、読み進めるほどに感動を呼び起こします。
人間であれば、どんな人にでも生き直すチャンスが与えられている。
そんなふうに思いました。
ページ数はありますが、ペーパーバックなのでそれほど重くありません。